生命保険に加入したいけど、過去に重い病気をわずらって手術をした、持病があるから加入を断られそう……と悩んでいませんか?持病の状態にもよりますが、一般の生命保険に加入できるケースもあり、たとえ一般の生命保険で引受不可になっても、保険料や保障範囲を調整することで加入できます。本記事では、持病がある人も加入できる生命保険と、選び方のポイントを解説します。

なぜ、健康状態の告知が必要?

健康状態の告知とは、既往歴や健康状態、職業などの情報を保険会社へ伝えることを言います。なお、告知は保険会社が指定した医師に伝えるか、あるいは保険会社に告知書を提出してはじめて有効となります。

具体的な告知項目は下記のとおりです。

  • 身長、体重
  • 健康状態
  • 既往歴
  • 持病、障害の有無
  • 妊娠の有無
  • 喫煙の有無
  • 勤務先や仕事内容
  • 2年以内の健康診断やがん検診の結果

生命保険は「公平性の原則」のもとに成り立つ

生命保険は、加入者が支払った保険料を財源に成り立っています。誰かが死亡またはケガしたときは、その財源(保険料)から支払われます。しかし、万が一告知なしで誰でも生命保険に加入できてしまうと、既往歴や持病がある人や健康状態が悪い人に多く保険金が降りてしまって、不平等になってしまいます。このような事態を避けるために、保険会社では年齢や性別、持病の有無、職業の危険度などの情報を参考に、保障内容の制限や保険料を調整します。これを「公平性の原則」と言います。

告知義務違反とは?

告知義務違反とは、故意に健康状態や既往歴を正しく記入しなかったり、職業や仕事内容を偽ったりして事実と異なる告知をすることを言います。告知義務違反をした日から2年以内であれば契約解除、保険金詐取の目的など告知義務違反の内容が重大な場合は、契約の取り消しとなります。なお、2年以上経過していても保険金や給付金は支払われないほか、保険金や給付金の返還を請求されます。うっかり持病や既往歴を告知しなかった場合は、判明した時点で保険会社に報告しましょう。再告知の内容によっては保険の更新や契約できない可能性もあります。

生命保険の告知で持病を隠すとばれる?

保険会社にとって保険料は加入者から集めた大切なお金であり、保険金を支払う際には虚偽がないか細心の注意を払います。そのため生命保険の告知で持病や既往歴を隠しても、すぐにばれる可能性が高いです。また、告知義務違反が重大な場合は、詐欺罪として立件される可能性もあるため、隠すことや虚偽の報告は絶対にやめましょう。

持病とは?

生命保険で持病とは何を指すのでしょうか?生命保険では、主に下記のような病気を指します。

  • 高血圧
  • ぜん息
  • 糖尿病
  • てんかん
  • アトピー性皮膚炎
  • リウマチ
  • 精神疾患(うつ病、パニック障害など)

生命保険に加入できる可能性のある持病一覧

保険会社によって判断は異なりますが、比較的加入しやすい持病は以下になります。

高血圧症、高脂血症

医療機関で測定した血圧やコレステロール、中性脂肪の値が保険会社が定める基準範囲内であり、合併症がなければ一般の生命保険に加入できる可能性は高くなります。

ぜん息

ぜん息は根治が難しく、一生付き合っていく持病になります。生命保険によって判断はわかれますが、症状が軽症であるほど加入できる確率は高くなります。直近の入院や治療歴、最後に発作した時期、吸入ステロイド薬の使用頻度などの告知内容によって一般の生命保険に加入できる場合があります。

糖尿病

糖尿病のなかでも2型糖尿病は再発の可能性は高いものの、寛解の状態まで回復することがあります。重症化して神経障害や動脈硬化などの合併症を引き起こしていなければ、引受基準緩和型の生命保険に加入できる場合があります。

脳卒中、脳梗塞

脳梗塞、脳卒中は再発率が高く、10年間で49.7%の人が再発するといわれています。また、再発する場合は身体の麻痺や言語障害、高次脳機能障害などの後遺症にかかる可能性もありますが、告知書の入院要件に該当しなければ引受基準緩和型の生命保険に加入ができる場合があります。。

精神疾患(うつ病、パニック障害など)

うつ病、躁うつ病、パニック障害などの精神疾患は再発しやすく入院や治療が長期化する傾向にあるため、一般の生命保険では引受不可にされることが多いです。うつ病などで通院していても、入院や手術の条件、がんなどの治療がなければ引受基準緩和型の生命保険に加入できる場合があります。

関連記事:うつ病でも加入できる生命保険は?知っておきたい公的支援制度も紹介

持病や入院歴があっても入れる生命保険とは?

持病の方でも、特別条件付き(特定疾病、特定部位不担保や保険料増額など)の生命保険や引受基準緩和型保険、無選択型や無告知型保険などであれば、生命保険に加入できる確率は高くなります。

 一般の生命保険引受基準緩和型限定告知型無選択型無告知型
保険料普通少し高め高い
加入年齢広いやや狭め狭い
告知項目多い3〜5項目なし
保障内容多いやや少なめ少ない
保険期間定期・終身定期・終身定期(5年程度)
免責期間がん保険の場合、90日間がん保険の場合、90日間加入して1年間は保障が半額の商品もある加入後90日間

特別条件付き保険

特別条件付き保険とは、被保険者の健康状態や既往歴、持病などの状況に応じて付ける条件のことを指します。告知内容が保険会社の定める基準に満たない場合に適用されます。

特別条件には、特定の疾病または部位を一定期間保障の対象から外す「特定疾病・特定部位不担保」、特定の障害状態になった時に高度障害保険金や保険料の払込免除を行わない「特定障害不担保」、被保険者のリスクに応じて追徴される「特別保険料」、一部の保険金が削減される「保険金削減」などがあります。

引受基準緩和型保険、限定告知型保険

引受基準緩和型保険、限定告知型保険は、一般的な生命保険と比べて告知項目が少なく、引受基準が緩和された保険です。告知項目は4〜5つと少ないため、持病がある方や既往歴のある方でも加入しやすい保険です。ただし、一般の生命保険と比べると保険料は割高になります。

無選択型、無告知型保険

無選択型、無告知型保険は、告知や医師の診査なしで加入できる保険のことを言います。一般的な生命保険と比べると保険料は高く、保険金や給付金の上限も低くなります。また、保険加入から2年以内に死亡した場合は、払込保険料相当額しか給付されません。

持病がある人向けの生命保険の選び方

持病がある方は、加入できる生命保険も限られてきます。どのような観点で生命保険を選べば良いのでしょうか。ポイントとしては次の4つになります。

保険料

前述したように、引受基準緩和型保険や限定告知型保険、無選択型や無告知型保険は引受基準を緩和しているため、保険料が割高になりやすいです。特定疾病、特定部位不担保にして、保障内容を一定期間削減して保険料を重視するか、それとも保障内容を手厚くして保険料は割高にするか、自分に適した保険料と保障内容のバランスを考えて判断しましょう。

保険期間

特定疾病や特定部位不担保の場合は、特定の疾病または部位で保険期間が短くなります。保険商品によって不担保期間は異なりますが、短い場合で1年、長い場合は全期間の場合もあります。。

どのくらいの期間になるか知りたい方は、事前に保険会社に問い合わせをしましょう。

告知の有無

持病がある方は、告知項目が少ないほど保険へ加入できる可能性は高くなります。ただし、持病が軽症または快方に向かっている場合は、一般の告知項目でも加入できることもあります。細かい告知内容に関しては、保険商品や診査方法などによって異なるので、事前に保険会社に相談しましょう。

給付金の金額

引受基準緩和型保険では、最初の1年間は支払い削減期間とするケースが多く、保険金の支払額は50%程度になります。削減の対象となる保険金や給付金に関しては、保険会社や保険商品によって異なるため、加入予定の保険会社に問い合わせましょう。また、無選択型、無告知型保険では免責事由の範囲が広く、加入から90日間は保障対象外にしているケースも多いです。

関連記事:生命保険の免責期間とは?加入する前に知っておきたいポイントを解説

まとめ

特別条件付き保険、引受基準緩和型保険や限定告知型保険、無選択型、無告知型保険は一般の生命保険と比較すると、保障内容が少なく保険料が割高です。保障内容と保険料のバランスを見つつ、加入するか検討してみると良いでしょう。

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監修者プロフィール

宮里 恵
(M・Mプランニング)

保育士、営業事務の仕事を経てファイナンシャルプランナーへ転身。
それから13年間、独身・子育て世代・定年後と、幅広い層から相談をいただいています。特に、主婦FPとして「等身大の目線でのアドバイス」が好評です。
個別相談を主に、マネーセミナーも定期的に行っている他、お金の専門家としてテレビ取材なども受けています。人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。

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