生命保険における免責期間とは

保険を契約してから一定の期間内に保険事故が起きた際に、 保険会社が保険金、給付金の支払いを免除される場合があります。 この期間を「免責期間」と呼びます。

特に初めて保険を契約する際には普段聞きなれない言葉が多く出ることから、 免責期間についても、よく理解していないまま契約する人も多いようです。 弊社で生命保険に加入している人を対象に独自調査を行った結果、 「(免責期間を)全く知らない」と回答したのは31.3%、「詳しくは知らない」と回答したのは43.4%と、 約4人に3人が免責期間についてよく知らないと回答しています。

実は、免責期間についてよく知らないままでいると、 せっかく保険に加入していても、万一の際に保障が受けられない可能性もあるのです。 この記事では、免責期間についてよく知らないという人のために、 保険の種類ごとの免責期間、それに伴う注意点について詳しく解説していきます。

加入する保険の種類によって免責期間は異なる?

生命保険には、いくつか種類があります。 加入する保険の種類によって、免責期間は大きく内容が異なってきます。 それぞれの保険ごとに解説していきます。

生命保険の場合

一般的な生命保険(貯蓄性の保険も含む)には、 共通してつく免責期間として代表的なものが、「自殺」です。 保険会社により異なりますが、一般的に多いのは、 ご契約時より2~3年の間の自殺については、免責期間となり、保険金が支払われないというもの。

自殺に関して免責期間を設けている理由は、 自殺志願者が保険金目的に加入するのを防ぐ為です。 また当然ですが、飲酒運転、泥酔状態での事故、 犯罪行為での事故等については厳しい調査が入り、支払われないケースも多くあります。

また、これらとは別の理由で免責期間が設けられるケースもあります。 「特別条件」と言い、契約者の健康状態によっては、 免責期間が設けられる場合や、加入できない場合があります。

では、特別条件にはどのようなものがあるのでしょうか。 一般的に多いのが、健康体の人に比べてリスクが高いので、保険料が高くなるというものです。 これを一般的に「特別保険料」と言います。金額は保険会社により異なります。 それ以外にも、契約した保障額1000万のうち、契約時より1年間は500万、2年目は750万、 3年目以降は1000万…といった形で、保障額の期間を定めて制限する場合もあります。

つまり、一般的な生命保険は、「自殺」や「社会通念上逸脱した行為」「不法行為」など以外は、 免責期間は付きません。 ただし、保険加入時の健康状態などによっては、免責期間が付加されるケースもあります。

医療保険の場合

医療保険は、免責期間がつく事が生命保険に比べて多くなります。

例えば、特定の持病で通院中の人が保険に加入した場合、 持病の種類や生命保険会社によって異なりますが、契約時から一定の期間は、 その持病を起因とした入院や手術については、給付金額が減額されたり、ゼロになったりする場合があります。

逆を言えば、契約時に特段ケガや病気がなければ、 契約日の翌日にケガや病気で入院、手術をしたとしても、給付金は支払われるのが一般的です。

がん保険の場合

一般的ながん保険の免責期間としては、 保険加入後、90日と定めている保険会社が多いようです。

例えば、内心で体の異状を感じている人ががん保険に加入し、 その後すぐに病院で受診してがんが見つかった、というケースの場合、 保険会社が保険金を一方的に支払うことになってしまいます。 こうした場合に保険の公平さを保つために、がん保険にも免責期間が設定されています。

保険加入後の免責期間中にがんと診断されても、 給付金は支払われませんので、必ず加入時に免責期間を確認しましょう。

団体信用生命保険(団信)の場合

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンを返済中に、万が一の事があり、 住宅ローンを返済する事ができなくなった場合は、 残りの住宅ローン残債分を保険会社が金融機関に支払うという保険です。 現在は、住宅ローンを組んで住宅を購入すると、 団体信用生命保険に加入する事が義務付けられるケースがほとんどです。

団体信用生命保険の場合、 加入してから保障の開始日から1年以内に自殺した場合には保険金が支払われません。 一般的な生命保険よりも免責期間が短いケースが多いので、注意しましょう。

参照:債務弁済される場合、債務弁済されない場合:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)

免責期間のカウントが始まる日はいつ?

上記で、生命保険や医療保険、がん保険などの免責期間について説明してきましたが、 免責期間のカウントが始まる日とは一体いつからになるのでしょうか。

一般的に、生命保険に加入するにあたり、責任開始日というものがあります。 この責任開始日が、免責期間のカウント日となります。 責任開始日とは、実際に保険会社が加入された契約者に対し、 保険金や給付金を支払う責任が始まる日になります。 責任が始まるには、いくつかの要件が必要になります。

保険申込書へのサイン

保険会社の担当者から保険内容について説明を受け、 理解・納得した場合に行う、申込書へのサインです。

告知書へのサインまたは医師の診査

告知書とは、契約者の体況について、偽りなく申告する書類のこと。 また保障金額や加入時の年齢によっては、 告知書ではなく医師の診査が必要になるので、その場合は医師の診察が必要です。

第1回保険料充当金の支払い

加入する保険の1回目の月額保険料に相当する金額の支払いも必要です。

以上の3つ全て揃った日が、 責任開始日となる為、免責期間のカウント日にもなります。 基本的には、契約時に全て揃うものですが、後日医師の診査が必要な場合などは、 全ての項目が揃った1番遅い日が責任開始日となります。 保険加入日や、その翌日に保険事故が起きる事もあるので、 責任開始日の確認は保険加入の際、とても重要な事になります。

免責期間の注意点

生命保険や、医療保険、がん保険に免責期間がある事は、上記で説明しました。 免責期間について理解した後は、具体的にどのような点に注意すればよいのでしょうか。

現在加入している保険から、新しく保険に加入し直す時に、 免責期間をしっかり理解した上でないと、必要な保障が受けられない場合があります。

新しい保険の内容を理解、納得し、契約を済ませたので、 現在加入している保険をすぐに解約してしまった経験はないですか? 解約するには、適切なタイミングが存在します。

例えば、現在がん保険に加入されている人が、 今より内容が充実した新しいがん保険に見直す場合のケース。 新しい保険を契約後、すぐに今までのがん保険を解約、しかし、新しい保険では免責期間がある為、 その間の会社等の健康診断でがんが発見された場合にリスクが生じます。 既に今まで加入していたがん保険は解約しており、新しいがん保険は免責期間内での発見になるので、 給付対象とならず、結局1円も給付されないという状況が起きてしまいます。

がん保険を見直される場合は、新しく加入予定のがん保険の免責期間をしっかり理解し、 免責期間が終わるまでの間は、今まで加入しているがん保険を継続すると安心できると思います。

もちろん、その期間は保険料が二重の負担となる為、事前に検討する必要があります。 新しく加入する保険会社の担当者、解約する保険会社の担当者または窓口に確認した上で、解約手続きをして下さい。

まとめ

日本は世界でも稀に見る保険大国で日本人の約9割は、 何らかの保険に加入していると言われています。 しかし生命保険に加入しているにもかかわらず、 加入している保険の免責期間を理解していない場合もあるようです。

免責期間をきちんと理解していないと、万が一のことが起きた際に、 期待していた保障が受けられず、家族にお金を残せないということもあり得ます。 誰の為に、いつ、どの位のお金がいつまで必要なのか、そこを明確にした上で、 免責期間も含めて保険の内容をしっかり確認してから契約するようにしましょう。

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監修者プロフィール

COMPASS TIMES
編集部

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