お金を増やすために資産運用を始めたいけれど、どのようなものがあるのかわからなかったり、種類が多くて迷ったりするものです。
この記事では初心者でも取り組みやすく、少額で始められる資産運用を6種類ご紹介します。「初めての資産運用だから、できる限り慎重に始めたい」という人や「忙しくても比較的取り組みやすい方法を知りたい」という人は、参考にしてみてください。
資産運用とは効率的にお金を増やす方法
資産運用とは、自分の持っているお金をなんらかの金融商品に配分・運用して、資産を効率的に増やす方法をいいます。
資産運用の方法は、大きく分けて貯蓄と投資です。
- 貯蓄:元本保証型の預貯金や財形貯蓄など、おもに資産を貯める方法を指す。元本保全性が高い保険を貯蓄に分類することもある。
- 投資:株式や債券など、おもに資産を増やす方法を指す。
それぞれの違いについて、具体的に解説します
資産を守るための貯蓄
お金を貯める行為全般を貯蓄と言いますが、資産運用における貯蓄とは、一般的に預金・貯金、財形貯蓄を指します。
どの商品・制度にも元本保証があり、資産を増やすことよりも守ることに長けています。「5年以内に使う予定のあるお金」や「万一に備えた生活費」など、確実に守りたい資産部分については貯蓄で運用すると安心です。
貯蓄性のある保険商品を貯蓄に分類することもありますが、保険のメイン機能はあくまで保障部分です。元本保全性は極めて高いものの、元々の性質が貯蓄や投資とは異なるということを覚えておきましょう。
資産を増やすための投資
投資とは、将来の利益を見込んで一定の資金を投じることです。
資産運用においては株式・投資信託・債券といった有価証券を指すことが多いですが、他にもさまざまな投資商品があります。
投資の特徴は、原則として元本保証がなく資産がマイナスになるリスクがあることです。一方で資産が大きく増える可能性もあり、資産を増やすことに長けています。
投資といっても、運用する金融商品の種類によってリスクとリターンは変わってきます。各商品の性質をよく確認したうえで運用を始めることが大切です。
貯蓄と投資の適切な配分とは
資産運用では、貯蓄と投資をバランスよく組み合わせ、資産を守りながら増やすことが大切です。
とはいえ、貯蓄と投資の配分に対する正解はありません。人それぞれ、リスクに対する考えや投資の価値観、資産の状況は違うからです。
たとえば「多少の値動きは気にしない。当面お金を使う予定もないから、今はどんどん投資に回して資産を増やしたい」という人もいれば、「子どもが5年後に大学進学。教育費についてはリスクをとれないから、投資はあくまで毎月の生活費の余剰資金で行いたい」という人もいます。
ライフプランによっても資金の使い方は変わってくるため、ご自身と各家庭の状況にあわせて適切な配分を考えましょう。
一般的には、3か月〜6か月程度の生活費を「生活防衛資金」として貯蓄しておき、残りの余裕資金で投資を考えるのが良いとされています。万が一失業や病気・ケガで一定期間収入がなくても、生活防衛資金があれば当面の生活を担保できるからです。
加えて、子育て世帯や持ち家あり世帯の場合は、生活防衛資金の他に教育費や住宅ローン繰り上げ返済費用も貯蓄で備えておくのがいいでしょう。
資産運用の相談先はこちらで詳しく解説しています。
初心者でも始めやすい資産運用は7種類
ここでは、資産運用は初めてという人でも取り組みやすい運用方法を7種類紹介します。
資産の安全性を重視したい人は【貯蓄】の方法を、資産を増やしたいという人は【投資】の方法を参考にしてください。
また、貯蓄の安全性を持ちつつ増やしたい人には【貯蓄+投資】の性質をあわせもった保険商品も紹介します。
資産運用には向き・不向きがあるため、一概に「この方法が正解」とは言えません。自分の目的や価値観にあう方法を見つけて、コツコツ続けることが大切です。
1.【貯蓄】預貯金
もっとも一般的な貯蓄方法といえば、預金と貯金が挙げられます。
預金は銀行や信用金庫といった「金融機関」にお金を預けることで、貯金はゆうちょ銀行(郵便局)やJAバンクなどにお金を預けることを指します。名前は違うものの、元本保証があり安全性の高い資産という点は同じです。
預貯金の特徴は、なじみのある銀行や郵便局で気軽にお金を貯められて、いつでも資金を引き出せる点にあります。元本保証があるため、数年以内に使う予定がある資金や不測の事態に備える資金の預け先に適しています。
たとえば、数か月程度の生活費や臨時の冠婚葬祭費は、預貯金で安全資産を作っておくことが大切です。病気やケガで働けなくなり、思うように仕事ができず収入が減る可能性は誰にでもあります。コロナ禍では、多くの人が予想外の収入減少に悩まされました。さまざまな収入減少や支出に備えるためにも、預貯金で資産を守ると安心です。
2.【貯蓄】財形貯蓄制度
財形貯蓄制度とは、勤務先の会社を通じて利用する貯蓄制度です。
「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」の3種類あり、利子に対する非課税措置や持ち家の建築または購入時に融資を受けられるといったメリットがあります。
財形貯蓄制度の貯蓄は、毎月の給与からの天引きです。あらかじめ給与から一定額を差し引いたうえで生活する仕組みを作れるため、強制的に貯蓄ができます。元本保証がある点は預貯金と同じですが、財形貯蓄制度では契約時も解約時も職場の手続きが必要です。
給与天引きなうえに職場での手続きが必要となるため、預貯金よりは資金を引き出す際の抑止力が働きます。
また財形貯蓄制度で選べる商品には、預金のほかに「財形貯蓄保険」もあります。保険商品の場合は預金よりも高めの運用利率が設定されている可能性があるため、安全性を担保しつつ少しでも増やしたい際に活用できるでしょう。
3.【万一の保障+資産形成】変額保険
変額保険とは、投資商品である投資信託と保険の性質がセットになった保険商品です。
資産の一部が「特別勘定」と呼ばれる方法で運用され、運用成果によって受け取れる保険金や解約返戻金が変動します。投資信託の仕組みを取り入れており、保険契約者は保険会社に間接的に運用を託せるようになっています※。
運用会社に資産運用を託せるという意味では投資信託と似ていますが、変額保険はあくまで保険商品です。投資信託と違い、基本の死亡保険金が付いています。保険会社にもよりますが、多くの場合この死亡保険金部分には最低保証が設定されています。
※実際に運用するのは保険会社が委託する運用会社です
詳しくは以下の記事で解説しています。
4.【投資】社債投資
社債とは企業がお金を借りるときに発行する借用書のようなものです。つまり社債投資とは、企業にお金を貸すことで一定の利益を得られる投資です。
社債は常時発行されているわけではなく、投資できる期間=申込みできる期間が決まっています。申込み人数が多ければ抽選となるため、いつでも投資できるわけではありません。
そんな社債の魅力は、「社債を購入して保有している期間=資金を貸し出している期間」には安定した利息を受け取れて、満期時には貸し付けていた資金が全額戻ってくる点です。貸し付けている期間はただ満期を待つだけなので、特別な運用をする必要はありません。複雑なテクニックが不要で、初心者でも始めやすい投資商品と言えます。
ただし、債券を発行した企業が倒産してしまえば貸した資金(投資元本)を失うリスクがあり、100%の元本保証はありません。
大企業が発行する社債は倒産リスクが低く、安全性は高いと言われています。人気のある企業の社債になると、発行後すぐ完売してしまうこともあるため、発行期間に留意しましょう。
5.【投資】投資信託
投資信託とは、運用会社が設定する「ファンド」という商品を購入・投資することでファンドの運用成績に応じた利益を得られる投資です。
購入したファンドの資産価値(基準価額)が上がってから売却すれば、その売買時の差額が投資の利益となります。また、運用成果に応じた分配金を出すファンドもあります。ただし元本保証はなく、購入したファンドの基準価額は毎日変動することを理解しておきましょう。
運用会社がファンドの中に入れて運用している資産には、株式や金・不動産などがあります。実際にどのような資産が組み込まれているかはファンドの運用方針によって異なりますが、一つの銘柄だけで構成されていることはほとんどありません。たとえば全世界株式型のファンドであれば、国内外の株式をバランスよく組み合わせていて、さまざまな株式銘柄が入っています。
ネット証券会社であれば100円から購入・投資できるファンドもあるため、少額で気軽に始められるのが投資信託です。
6.【投資】NISA
NISAは、特定の金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。通常、投資からの運用益には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座を利用すると、これらの運用益には税金がかかりません。
2024年1月から開始された新NISA制度では、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が利用できます。つみたて投資枠では、年間最大120万円までの積立投資が無期限で非課税です。この枠は、金融庁が選定した一定の要件を満たした投資信託を対象とし、販売手数料がかかりません。長期的に資産を増やすことが期待できるため、投資初心者に適しています。
一方、成長投資枠は、年間240万円までの投資が可能で、株式やREIT(不動産投資信託)など幅広い商品を対象にしています。この枠の非課税保有限度額は最大1,200万円です。
新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて、最大年間360万円までの投資が非課税で運用できます。両方の枠の合計非課税保有限度額は1,800万円ですが、運用してきた資産を一部売却することで、翌年の非課税枠を復活させることができます。
さらに、証券会社によっては100円からNISAを開始できるので、投資信託や株式などへの投資ならNISAからはじめてみるのもよいでしょう。
ただし投資対象の銘柄が限られているため、希望する投資信託銘柄や株式銘柄が選択肢に含まれていない可能性もあります。また他の投資方法と同様に元本保証がないため、理解しておきましょう。
NISAについては以下の記事でも詳しく解説しています。
7.【投資】ロボ・アドバイザー(投資一任型)
ロボ・アドバイザーとは、運用会社が設定するロボット(AI)が資産運用のアドバイスや運用をしてくれる、比較的新しい金融サービスです。
運用会社によって細かいサービス内容は異なりますが、一般的なサービス内容は「アドバイス型」と「投資一任型」に分けられます。前者は資産運用のポートフォリオや運用方針を相談し、実際の投資は投資家が行うものです。そして後者はいくつかの質問に答えるだけでロボット(AI)が最適なポートフォリオ、運用方針を設定し、自動で資産運用するものとなっています。
特に「投資一任型」は、文字どおり投資の方針から実際の運用まですべてを自動化してロボット(AI)が行うため、初心者でも始めやすいサービスです。多くの運用会社では、低コストのETF(上場投資信託)を利用して全世界へ分散投資する方法をとっています。
投資を始める人は、「どの地域(国)の、何に投資すればいいのか?」「どんな配分で投資すればいいのか?」などでつまずくことが多いです。
その点、ロボ・アドバイザーなら投資家の価値観やリスクに対する耐性も読み取ったうえで判断してくれるため、投資の相談相手が身近にいるイメージで利用できるのではないでしょうか。
ただし、ロボ・アドバイザーにも他の投資と同様元本保証はありません。ETF(上場投資信託)を利用しているサービスの場合は、世界の相場の動きによって資産価値が変動する可能性があります。ロボット(AI)とはいえ、マイナスにならないわけではないので注意しましょう。
まとめ
資産運用とは、持っている資産を貯蓄や投資といった方法でうまく運用し、効率的に増やすことを言います。資産運用の種類はさまざまで、元本保証ありの貯蓄から、貯蓄と投資の性質をあわせもった保険商品、リスクをとって積極的に資産を増やす投資まであります。どの方法をどう使い、どのくらいの割合で運用していくかは人それぞれで、正解はありません。
それでも資産運用の配分で迷ったときの目安は、3か月〜6か月程度の生活費や5年以内に使う予定のあるお金などは、預貯金で用意しておき、残りの余裕資金を投資にあてるとよいでしょう。
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宮里 恵
(M・Mプランニング)
保育士、営業事務の仕事を経てファイナンシャルプランナーへ転身。
それから13年間、独身・子育て世代・定年後と、幅広い層から相談をいただいています。特に、主婦FPとして「等身大の目線でのアドバイス」が好評です。
個別相談を主に、マネーセミナーも定期的に行っている他、お金の専門家としてテレビ取材なども受けています。人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。