「資産運用は、どこに相談すれば良いのだろうか」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

資産運用の相談先は、銀行や証券会社、独立系ファイナンシャルプランナーなど、さまざまな選択肢があります。相談先を選ぶ際は、それぞれの特徴を理解したうえで選ぶことが大切です。

本記事では、資産運用の相談先や相談する前に準備すべきことなどを解説します。

資産運用を相談する前に準備すべきこと

資産運用を相談したいと考えていても、いきなり銀行や証券会社などの窓口に行くのはおすすめできません。

資産運用をする目的や投資に回せる予算を、事前にある程度決めておかなければ、資産運用のプロに相談しても有効なアドバイスを得られない可能性があるためです。

ここでは、資産運用をプロに相談する前に考えておくと良いポイントを解説します。

1.資産運用をする目的・目標を決める

運用方法には、株式や投資信託、債券、保険などさまざまな選択肢があり、それぞれ特徴やリスクが異なります。

例えば、老後資金として65歳までに3,000万円を準備するのと、子供の教育資金として10年間で500万円を準備するのでは、商品の選択肢や運用方法が異なります。

たとえ資産運用のプロであっても、運用目的や目標が曖昧だと、有効であると考えられる運用方法を提案するのは困難です。投資する目的と目標を事前に決めておくことで、相談を受ける側は運用方法や商品をより具体的に提案しやすくなります。

一方で、専門家や金融機関の営業職員と対話する中で、運用目的や目標が明確になることもあります。そのため、相談する前に自分自身で資産運用の目的や目標を考え、分からない点については資産運用の専門家と相談しながら決めると良いでしょう。

2.資産運用に回せる予算を明確にする

資産運用をするためには、資金が必要です。資産運用をプロに相談する前に、投資に回せる資金がいくら準備できるのか確認しておきましょう。

資産運用は、原則として「余剰資金」で行うことが大切です。余剰資金とは、当面使う予定がない資金のことであり、すべての資産から生活費や緊急予備資金などを差し引いて計算します。

緊急予備資金は、病気やケガで入院をしたり、退職や転職によって収入が減少したりしたときに備えるためのお金です。また、余剰資金を計算する際は、結婚や子供の進学、マイホーム購入など、使い道が決まっているお金も除外すると良いでしょう。

生活費や緊急予備資金、使い道が決まっているお金まで、資産運用に回すのはおすすめできません。資金が必要になったときに損失が発生してしまい、生活が苦しくなったりライフプランに狂いが生じたりする可能性があるためです。

資産運用はどこで相談できる?

資産運用の主な相談先は、以下の通りです。

金融機関・銀行
・証券会社
・保険会社
専門家・IFA
・独立系ファイナンシャルプランナー

ここでは、それぞれの特徴を解説します。

金融機関に相談する

銀行や証券会社などの金融機関には、無料で利用できる資産運用の相談窓口が設けられているのが一般的です。

金融機関の営業職員は、相談者のライフプランの実現に向けた資金計画をアドバイスするファイナンシャルプランナーの資格を取得していることがあります。日本FP協会の調査によると、アンケートに回答した金融機関(銀行や証券会社、信用金庫など)のうち、82.1%が2級FP技能士の取得を奨励しています。

※参考:日本FP協会「金融機関等におけるFP資格活用度調査」

銀行

都市銀行や地方銀行などの銀行には、資産運用の相談窓口が設けられているのが一般的です。銀行は金融機関の中でもっとも身近な存在であり、全国各地に支店があるため、資産運用の初心者でも気軽に相談しやすいといえます。また、無料で参加できる資産運用のセミナーや相談会などを開催していることもあります。

銀行で取り扱っている金融商品は、普通預金や定期預金、投資信託や保険、外貨預金などです。現物の株式については、直接購入できません。ただし、銀行と提携する証券会社に口座を開くことで、現物株式の取引ができる場合があります。

証券会社

証券会社は、国内や国外の株式だけでなく、投資信託や債券、保険など幅広い金融商品を取り扱っており選択肢が豊富です。

相談窓口がある証券会社であれば、営業職員と対面で資産運用を相談できます。また、支店や大規模会場、インターネットなどで資産運用のセミナーを開催していることもあります。

インターネットを通じて金融商品を取引するネット証券は、実店舗がないか、あってもわずかです。そこで、資産運用の専門家であるIFAと提携し、対面または電話での相談をできるようにしているネット証券もあります。

保険会社

契約している生命保険の担当者に、資産運用を相談できる場合があります。保険会社に資産運用を相談した場合、提案される商品は保険が中心です。

保険商品のなかには、個人年金保険や終身保険など、資金の準備に活用できるものがあります。また保険会社によっては、払い込んだ保険料の一部を、株式や債券などで構成された特別勘定で運用する「変額保険」に加入できます。

変額保険は、特別勘定の運用実績に応じて将来受け取れる保険金や解約時に戻ってくるお金が変動する、投資性の強い保険商品です。保険会社の担当者から現物の株式や投資信託を直接購入できませんが、変額保険であれば加入できることがあります。

専門家に相談する

資産運用は、IFAや独立系ファイナンシャルプランナーといった専門家にも相談できます。IFAや独立系ファイナンシャルプランナーは、特定の銀行や証券会社などの金融機関に所属していないため、中立的なアドバイスが期待できます。

IFA

IFA(Independent Financial Advisor)は、資産運用の提案や助言をする専門家です。老後資金の準備方法や退職金の運用方法、相続など、さまざまなことを相談できます。

またIFAは、証券会社をはじめとした金融機関と提携して投資信託や株式などを取り扱っているため、相談者に合った商品を提案してもらえます。

IFAの多くは、相談料がかかりません。これは、相談者に紹介した商品の契約が成立すると、提携している金融機関からIFAに対して報酬が支払われるためです。

ファイナンシャルプランナー(FP)

ファイナンシャルプランナー(FP)は、資産運用だけでなく税金や社会保障制度、保険、不動産など、お金に関する幅広い知識を持った専門家です。ライフイベントが発生したときに必要となる資金や保有資産の推移などを試算したうえで、最適であると考えられる投資先や投資配分を提案してもらえます。

また、資産運用だけでなく、保険の見直しや住宅の購入、相続など、お金に関するさまざまなことを相談できるのもFPの強みといえるでしょう。ただし、FPによって得意分野が異なるため、相談をする前に資産運用が得意か確認する必要があります。

独立系のFPは、相談時間や相談内容などに応じた相談料がかかることがあります。金額や料金体系は、FPによって大幅に異なるため、相談前によく確認しておくと良いでしょう。

資産運用をプロに相談するメリット

資産運用をプロに相談するメリットは、次の通りです。

資産運用をプロに相談するメリット

・現状分析をしてもらえる
・プロの目線で投資先や投資配分を提案してくれる

資産運用のプロには、現状分析から相談が可能です。現預金や有価証券、生命保険など、相談者が保有している資産を洗い出したうえで、当面使う予定のないお金がいくらあるのかを算出してくれます。

運用に回せる予算を自分自身で計算するのが難しい人は、資産運用のプロに現状分析をしてもらうと良いでしょう。運用の予算を把握できている人も、専門家の見解を聞き、必要に応じて予算を調整するのがおすすめです。

また、当面使う予定がない資金の投資先や投資配分を、プロの目線で選んでもらえるのも相談するメリットです。

世の中には、数多くの金融商品が流通しており、期待できるリターンやリスクなどが異なります。加えて、投資先を選ぶ際は、市場の動向や世界情勢などの情報にもとづいた判断が求められます。そのため、資産運用の専門知識がなければ、投資先を選んだり投資配分を考えたりするのは困難です。

資産運用のプロに相談すると、相談者が希望するライフプランをヒアリングのうえ、それが実現できる投資先を選んでくれます。また「国内株式を30%、国内債券を20%、外国株式を30%、外国債券を20%」のように、相談者が許容できるリスクに応じた資産配分(アセットロケーション)も提案してもらえます。

資産運用の相談先を選ぶポイント

資産運用の相談先を選ぶ際のポイントは、以下の4点です。

資産運用の相談先を選ぶ際のポイント

・取り扱っている金融商品の多さ・種類
・担当者の実績・対応の丁寧さ
・気軽に相談できるか
・長期的に相談できるか

1.取り扱っている金融商品の多さ・種類

金融機関によって、商品のラインナップは異なります。またIFAや独立系FPは、取り扱える商品に違いがあります。さらに独立系FPのなかには、金融商品の販売・仲介をしない人もいるため事前に確認することが大切です。

例えば、豊富な選択肢のなかから自分自身に合った商品を選びたいのであれば、相談先が取り扱っている金融商品の数を確認すると良いでしょう。外国株式やコストが低い投資信託など、投資をしたい金融商品に希望があるのなら、取り扱っている商品の種類を確認するのが有効です。

取り扱っている商品は、ホームページに掲載されていることがあります。掲載されていない場合は、メールや電話などで確認してみると良いでしょう。

2.相談実績・対応の丁寧さ

資産運用のプロといっても、知識や提案スキルなどは大きく異なります。そこで資産運用の相談実績を確認すると、相談に応じてくれた人の知識や提案スキルを判断する材料になることがあります。

IFAや独立系FPは、ホームページに掲載された過去の相談事例や利用者の感想を確認すると良いでしょう。銀行や証券会社、保険会社に相談するのであれば、相談に応じてくれた人の経歴を確認する方法があります。

対応の丁寧さも、相談先を選ぶ際の重要な要素です。対応が丁寧な人は、不明点や疑問点を質問するとわかりやすく答えてくれます。また、商品の購入や売却などの手続きをするとき、即座に対応してくれます。

いくつかの営業職員や専門家に相談をし、相談者に寄り添った丁寧な対応が期待できるところを選ぶと良いでしょう。

3.気軽に相談できるか

金融機関や専門家に相談するのは、多額の資産を持つ人や経験が豊富な投資家であると考えている人もいるのではないでしょうか。

金融機関やIFA、独立系FPの多くは、資産運用の経験にかかわらず相談に応じてくれます。心配であれば、相談の問い合わせをする際に、資産運用の初心者でも問題ないか確認するのも方法です。

初心者の対応に慣れている人に相談をすると、専門用語や商品の特徴などをわかりやすくかみ砕いて解説してくれます。複数の金融機関や専門家の話を聞き、説明のわかりやすさを比較すると良いでしょう。

4.長期的に相談できるか

資産運用は、20年や30年など長期間にわたる可能性があります。長期間にわたる資産運用をするのであれば、長く付き合える相談先を選ぶと良いでしょう。

銀行や証券会社は、担当者が数年で転勤する可能性があります。途中で担当者が変わってしまった場合、これまで築いてきた関係性がリセットされてしまいます。

長期間にわたって同じ人のサポートを受けたいのであれば、担当者が将来的に変わる可能性がないか確認すると良いでしょう。

資産運用はできるだけ複数の相談先に相談する

資産運用は、できるだけ複数の金融機関や専門家に相談をするのがおすすめです。自分自身に合った運用方法や、信頼できる担当者が見つかりやすくなります。

営業職員や専門家によって、知識や考え方、取り扱い商品などが異なります。そのため同じことを相談しても、アドバイスの内容まで同じであるとは限りません。

例えば、老後資金の準備を相談した場合「投資信託で準備しましょう」とアドバイスする人もいれば「保険に加入しましょう」と提案する人もいます。それぞれの提案理由を聞き、どの選択肢が最適か考えることで、より納得できる答えが見つかりやすくなるでしょう。

また、提案内容や対応の仕方、質問に対する回答の内容などを比較することで、信頼できる担当者を選びやすくなります。資産運用を相談する際は、複数の営業職員や専門家に相談をして、運用方法や担当者を選ぶと良いでしょう。

まとめ

資産運用を相談する前に、運用目的や目標、予算を考えておくことで、相談された側は投資先や投資配分などをアドバイスしやすくなります。ただし、担当者と相談しながら決めることもできるため、完璧に考えておく必要はありません。

銀行や証券会社、保険会社では、無料で資産運用の相談が可能です。また金融機関だけでなく、IFAや独立系FPに相談する方法もあります。

それぞれ提案内容や取り扱っている金融商品の種類などが異なるため、複数の金融機関や専門家に相談して、自分自身に適した選択を考えることが大切です。

保険コンパスなら、何度でも相談無料です

監修者プロフィール

宮里 恵
(M・Mプランニング)

保育士、営業事務の仕事を経てファイナンシャルプランナーへ転身。
それから13年間、独身・子育て世代・定年後と、幅広い層から相談をいただいています。特に、主婦FPとして「等身大の目線でのアドバイス」が好評です。
個別相談を主に、マネーセミナーも定期的に行っている他、お金の専門家としてテレビ取材なども受けています。人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。

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