「医療保険は見直した方がよいのだろうか」と悩んではいませんか?結論からいえば、医療保険の保障内容は定期的に見直すことをおすすめします。
医療環境は年々変化しており、それに応じて保険会社が取り扱う医療保険の内容も変わる可能性があります。また、生活環境が変化したことで、加入している医療保険の保障では病気やケガのリスクに対する備えが不十分になっているかもしれません。
この記事では、医療保険の見直しをした方がよい理由や検討するタイミング、見直しをする際の注意点を解説します。
定期的に医療保険の見直しをした方がよい理由
民間保険会社の医療保険は、病気やケガで入院や所定の手術をした場合に、給付金を受け取れる保険です。
日本国民は、原則として全員が公的医療保険に加入しているため、病気やケガをしたときは、医療費の一部を公的な機関が負担してくれます。民間医療保険は、公的医療保険では賄いきれない部分をカバーするために加入する商品です。
医療保険の基本的な保障は、一般的には入院時に支払われる「入院給付金」と、手術をしたときの「手術給付金」です。また、特約を付加することでがんや三大疾病※1(がん・心疾患・脳血管疾患)、退院後の通院にも備えられます※2
※1.三大疾病の定義は保険会社や商品によって異なります。
※2.付帯できる特約の種類は保険会社や商品によって異なります。
すでに医療保険に加入している人は、保障内容を定期的に見直すことをおすすめします。その主な理由は以下の通りです。
- 自分自身の状況や希望に合わせるため
- 医療環境の変化に対応するため
1つずつ解説します。
自分自身の状況や希望に保障を合わせるため
医療保険の保障内容は、年齢や家族構成などさまざまな要素をもとに検討することが大切です。生活背景や保有資産などが変わり、加入している医療保険の保障では過不足が生じる可能性があるときは、見直しをした方がよいでしょう。
また、人は年齢を重ねると病気になるリスクが高まっていきます。厚生労働省の調査によると、人口10万人あたりの入院をする人の数は、以下の通りです。
単位:人
年齢 | 人口10万人あたりの入院者数 | ||
総 数 | 男性 | 女性 | |
総 数 | 960 | 910 | 1,007 |
20~24歳 | 141 | 128 | 156 |
25~29歳 | 198 | 142 | 258 |
30~34歳 | 246 | 165 | 331 |
35~39歳 | 257 | 215 | 301 |
40~44歳 | 273 | 278 | 267 |
45~49歳 | 345 | 387 | 302 |
50~54歳 | 478 | 551 | 404 |
55~59歳 | 664 | 776 | 551 |
60~64歳 | 895 | 1,064 | 730 |
65~69歳 | 1,207 | 1,444 | 983 |
70~74歳 | 1,544 | 1,797 | 1,318 |
75~79歳 | 2,204 | 2,461 | 1,997 |
※参考:厚生労働省「令和2年(2020)患者調査の概況」
男性と女性のどちらも、年齢を重ねるごとに入院をする人の数が増えていることがわかります。医療保険の加入当初は最低限の医療保障でよいと考えていたものの、年齢を重ねたことで、より手厚く病気に備える必要性を感じるかもしれません。
以上の点から、医療保険に加入したあとも、保障内容が現在の状況や希望に合っているのかを定期的に確認し、必要に応じて見直しをすることが大切です。
医療環境の変化に対応するため
ひと昔前は、長期間の入院による治療をするケースがほとんどでした。しかし近年は、医療技術の進歩により、長期の入院をせずとも通院治療や、日帰りまたは一泊程度の手術で済むケースも増えてきたため、入院期間は短くなってきています。
厚生労働省の調査によると、退院した患者の平均在院日数の推移は、次の通りです。
※出典:厚生労働省「令和2年(2020)患者調査の概況」
2020年の患者調査はコロナ禍のなかで実施されたためか、平均在院日数が上昇しているものの、それまでは減少傾向にあることが見て取れます。
かつての医療保険は、入院給付金の支払限度日数は1入院あたり120日である一方で、入院開始から4日ほどは給付金の支払対象外となるのが一般的でした。
それが近年の医療保険は、入院日数の短期化により日帰り入院や1泊2日程度の入院でも給付金が支払われるようになっています。また、入院日数にかかわらず、まとまった一時金が支払われる商品も増えてきました。
1入院あたりの支払限度日数は、基本的に60日と短期化しており、保険会社や商品によっては30日も選べます。その一方で、三大疾病などで入院したときの支払限度日数を無制限にできる商品もあります。
今後も医療技術の進展により、各保険会社が取り扱う医療保険の商品内容に何かしらの変化があるかもしれません。医療保険に加入したあとも定期的に保障内容を確認し、医療環境に合っていないようであれば見直しをするのがよいといえます。
医療保険の見直しを検討すべきタイミング
医療保険の見直しを検討した方がよいのは、以下のようなタイミングです。
- 結婚や出産などライフステージが変化したとき
- 加入から5年以上経過している場合
- 医療保険の満期が近づいているとき
- 保険料負担が重くなったとき
1つずつ解説します。
結婚や出産などライフステージが変化したとき
ライフステージが変化すると、世帯収入や毎月の支出も変わりやすいため、医療保険の見直しを検討するタイミングといえます。見直しを検討するタイミングの例は、以下の通りです。
- 就職をした
- 結婚をした
- 出産した
- 住宅を購入した
- 子どもが独立した
- 定年退職を迎えて老後生活に入った
例えば、結婚をして子どもが産まれたときは、家族の人数が増えることで家計の支出は増えるのが一般的です。家計を支える人が病気やケガで入院をすることになると、収入が減って家族の生活が苦しくなるかもしれません。保障が不足するようであれば、見直しをして保障を手厚くするとよいでしょう。
一方で、子どもが独立して養う家族の人数が減り、手厚い保障が不要になったのであれば、保障を減らして保険料負担を抑える方法もあります。
加入から5年以上経過している場合
医療保険に加入してから5年以上経っている場合、医療環境や公的医療保険の内容が変化している可能性があります。それにより、民間保険会社が取り扱う医療保険の保障内容の傾向も変わっているかもしれません。
ライフステージに大きな変化がなかったとしても、医療保険の保障内容を変えずに5年ほど経過しているのであれば、見直しを検討するとよいでしょう。
医療保険の満期が近づいているとき
保険期間(保障を受けられる期間)が10年などの一定である定期医療保険に加入している場合、期間満了の手前が見直しを検討する1つのタイミングといえます。
商品によっては、満期を迎えたときに更新をすると再び一定期間の保障を得られます。保険期間の満了が近いときは、そのままの契約内容で更新をすべきか、それとも保障内容や保険会社、商品などを変更すべきかを検討しましょう。
保険料負担が重くなったとき
「転職して収入が減った」「子どもが成長して毎月の支出が増えた」などの理由により、それまでは問題がなかった保険料が負担になることもあります。家計の収支が変化したことで保険料の負担が重くなったときは、見直しをするのも方法です。
見直しにより、あまり必要と感じない特約を削ったり、保険会社を乗り換えたりすることで、保険料負担が抑えられて家計を楽にできる可能性があります。
なお、生命保険の見直し方も以下で解説しています。
医療保険の見直しをする際のポイント3つ
医療保険の見直しをする際は、以下3つの点を押さえておくとよいでしょう。
- 必要な保障を考える
- 医療保障がいつまで必要なのかを考える
- 無理なく支払っていける保険料を考える
1つずつみていきましょう。
1.必要な保障を考える
基本的に医療保険は、保障を手厚くすればするほど保険料は高くなっていきます。医療保険の見直しによって、保険料が増えるのは以下のようなときです。
- 入院給付金日額を高くする
- 1入院あたりの支払限度日数を長くする
- 付加する特約を増やす
いくら病気やケガに手厚く備えられたとしても、毎月の保険料が家計を圧迫してしまっては本末転倒です。医療保険の見直しをする際は、現在の家計や家族構成などをもとに、必要な保障を考えることが大切です。
「短期の入院にも手厚く備えたい」「がんや心筋梗塞などの重い病気にも備えたい」などの希望を整理し、優先順位を付けて保障を決めるとよいでしょう。
2.医療保障がいつまで必要なのかを考える
医療保険には、10年などの一定期間である定期型の他にも、保障が一生涯続く「終身型」があります。医療保険を見直す際は、いつまで保障が必要なのかを考えて終身型と定期型のどちらにするのかを選ぶとよいでしょう。
終身医療保険は、加入から一生涯にわたって保険料が変わりません。例えば、高齢になってもできるだけ保険料負担を抑えて病気やケガに備えたいのであれば、若いうちに終身医療保険に加入するのも1つの方法です。
また、2024年2月現在は終身医療保険が主流であり、多数の保険会社が取り扱いをしているため豊富な選択肢のなかから商品を選ぶことができます。
定期医療保険は、保険期間が一定である代わりに加入時の保険料が割安です。また、保険期間が満了したときに更新をすると、再び一定期間の保障が得られる商品もあります。
「子どもが独立するまで」「住宅ローンを返し終えるまで」など、限られた期間のみ医療保障が必要なのであれば定期型を検討してはいかがでしょうか。
ただし、定期医療保険は更新をするたびに保険料は上がり、また更新可能な年齢に上限がある点には注意が必要です。
3.無理なく支払っていける保険料の金額を考える
医療保険の見直しをする際は、現在の家計をもとに無理なく支払っていける保険料がいくらなのかを考えましょう。
問題のなく支払える保険料と必要な保障のバランスを考慮して見直し後の契約内容を決めると、家計の負担を抑えながらより希望に合った備えを準備できます。
損をしないために知っておきたい!見直しの注意点
医療保険の見直しで損をしないために知っておきたい注意点は、以下の通りです。
- 健康状態によっては見直しができない場合もある
- 年齢を重ねるほど保険料は割高になる
- 保険料の安さのみを重視して見直しをしない
- がんの保障には免責期間がある
それぞれについて解説します。
健康状態によっては見直しができない場合もある
医療保険に新規で加入したり保障を付け足したりする際は、現在の健康状態や過去一定期間の病歴(既往歴)などを告知して、保険会社の審査を受ける必要があります。
告知した内容によっては、保険会社から引き受けを断られることがあり、加入できたとしても、保険料が割増になる場合もあります。
健康状態に不安があり、新規加入が難しい場合や保険料が割り増しとなったときは、加入中の医療保険を続けるのも方法です。また、保険会社による審査の結果がわかるまで、見直し前の医療保険の解約は待った方がよいといえます。
年齢を重ねるほど保険料は割高になる
医療保険は、加入時の年齢が高いほど保険料は高くなっていきます。年齢を重ねるほど、病気になるリスクは高まっていくためです。
新規加入または前回の見直しから年数が経過していると、年齢を重ねていることで保険料は上がっていきます。
見直しにより保障を減らしたとしても、必ずしも保険料負担を減らせるとは限りません。また保障を手厚くした場合は、想定以上に保険料負担が増えることがあります。
保険料の安さのみを重視して見直しをしない
保険料負担を抑えることだけを目的に医療保険を見直すと、病気やケガになったときに十分な給付金を受け取れないかもしれません。
保険料を下げるために医療保険の見直しをする場合でも、自分自身や家族にとって必要な保障は確保しておくのがよいといえます。
がんの保障には免責期間がある
医療保険に付帯されているがん保障やがん保険には「90日」または「3か月」の免責期間(待期期間)が設けられています。免責期間中にがんと診断されても、保障は受けられません。
医療保険にがんの保障を付ける場合や、がん保険に新規で加入する場合は免責期間があることを理解しておきましょう。
医療保険の見直しをする際は保険のプロに相談しよう
医療保険の保障を選ぶときは、公的医療保険の給付内容をよく理解しておく必要があります。また、医療保険は非常に多くの保険会社が取り扱っています。
保険と接する機会があまりない人が、公的医療保険を調べたうえで各保険会社の商品を比較して選ぶとなると膨大な時間がかかるでしょう。
そこで、医療保険の見直しをする際は、保険代理店やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談をすることをおすすめします。保険の専門家であれば、家族構成や希望などをヒアリングのうえ、相談者に合った商品や保障内容を提案してくれます。
まとめ
医療保険に加入したあとも、ライフステージが変化したときや保障内容を変えずに5年が過ぎたときなどのタイミングで、見直しを検討するとよいでしょう。
医療保険の見直しをするときは、必要な保障と保険料負担のバランスを考えて保障内容を決めることが大切です。終身型と定期型のどちらがよいのかは、医療保険で病気やケガのリスクにいつまで備えたいのかを考えると判断しやすくなります。
見直しの必要性や自分自身に合った保障など、判断に困る点があるときは、保険代理店やファイナンシャルプランナーにご相談ください。
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