「できるだけ保険料を安くしたい」「保険料が安い生命保険に加入をしても問題ないだろうか」と考えている人は多いのではないでしょうか。

保険料が安い生命保険でも、亡くなったときや所定の高度障害状態に手厚く備えることはできます。しかし、保険料の安さだけで生命保険を選んでしまうと、万が一のときに十分な保障を受けられないかもしれません。

本記事では、保険料が安い生命保険で手厚く備える方法や生命保険を選ぶうえで知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。

※本記事における生命保険は、被保険者(保障を受けられる人)が亡くなったときや所定の高度障害状態になったときに保険金が支払われる商品を指します。

保険料が安い生命保険でも手厚い保障は受けられる?

生命保険会社によっては、割安な保険料で手厚く備えられる生命保険を取り扱っています。また、掛け捨て型という保険料が割安な生命保険を選ぶのも方法の1つです。

保険料が安くても保障を手厚くできる

一般的に生命保険は、保障を手厚くするほど保険料が高くなっていきます。しかし、保険会社によって保険料の計算方法や割引制度が異なるため、商品の選択次第では割安な保険料で手厚く備えることが可能です。

生命保険の保険料は「純保険料」と「付加保険料」に分かれています。純保険料は、将来の保険金支払いに充てられる保険料です。一方の付加保険料は、人件費やオフィスの維持費、広告費用など、保険事業を運営するために必要な費用に充てられています。

インターネットで加入できる生命保険は、保険料が安い傾向にあります。生命保険会社の実店舗や営業職員の数が少ないため、経費がかかりにくい分、付加保険料を安くできるためです。

また、対面で加入手続きをする生命保険の中にも、割安な保険料で加入できる商品はあります。例えば、健康に自信がある人は「リスク細分型」の生命保険を選ぶことで、保険料負担を抑えられる可能性があります。

リスク細分型の生命保険は「過去1年以内に喫煙していない」「血圧やBMIが保険会社の定める基準の範囲内」などの条件に当てはまると、保険料が割引されるためです。

「掛け捨て型」なら割安な保険料で手厚く備えられる

生命保険には「掛け捨て型」と「貯蓄型」があります。保険料負担を抑えて万が一に手厚く備えたいのであれば、掛け捨て型を選ぶと良いでしょう。

貯蓄型の生命保険は、途中で解約をすると解約返戻金を受け取れます。また、商品によっては保険期間が満了すると満期保険金を受け取ることも可能です。

一方、掛け捨て型の生命保険は、解約しても解約返戻金がないか、あってもごくわずかです。また、保険期間が満了したとしても満期保険金は受け取れません。その分、保険料は貯蓄型よりも割安です。

代表的な掛け捨て型の生命保険には「定期保険」があります。定期保険は、保険期間が「一定の年齢まで」または「一定の年数が経過するまで」である生命保険です。商品や契約内容によっては、保険期間が満了したあとに更新をすることも可能です。

ただし、更新をしたときの年齢で保険料が再計算されます。同等の保障内容で更新を繰り返していくと、保険料負担が家計を圧迫しやすくなる点には注意が必要です。

他にも、死亡・高度障害保険金を分割で受け取ることができる「収入保障保険」も、掛け捨て型に分類されます。

若いときに加入すると保険料を抑えられる

生命保険は、保障の対象となる人の年齢や性別などでも保険料が変わります。年齢が若い人は亡くなるリスクが低い分、保険料は割安です。保険料負担を抑えたいのであれば、若いうちに生命保険に加入しておくのも方法の1つです。

例えば、保険金額や保険期間などの条件が同じである場合、35歳よりも30歳のときに加入をしたほうが毎月の保険料を抑えられます。

万が一の保障が必要であると考えているのであれば、早めに検討し始めるとよいでしょう。

また、若いころに終身保険に加入すると、老後生活に入って主な収入源が年金となり世帯収入が低下したあとも、割安な保険料で契約を継続できます。

年金生活に入る前に保険料の払い込みを終わらせる方法もあります。

終身保険は、解約をしない限り、一生涯にわたって死亡と所定の高度障害状態に備えられる保険です。

貯蓄型の生命保険であるため、保険料は掛け捨て型よりも割高ですが、若いころに加入することで保険料負担を抑えられます。

生命保険料の平均額はいくら?

では、生命保険に加入している人はいくらの保険料を支払っているのでしょうか。生命保険文化センターの調査をもとに、保険料の平均払込額をみていきましょう。

1世帯あたりの払込保険料は、年間で平均37.1万円でした。1か月あたりの保険料は、約30,916円となります。

※出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査

また、世帯種類別の年間払込保険料は、以下の通りです。

 年額月額
夫婦のみ(世帯主40歳未満)約21.0万円約17,497円
夫婦のみ(世帯主40歳以上)約36.0万円約29,957円
夫婦と扶養子有(末子乳幼児)約39.1万円約32,539円
夫婦と扶養子有(末子小中学生)約38.2万円約31,854円
夫婦と扶養子有(末子高校生以上)約38.0万円約31,663円
夫婦と扶養していない子有約44.8万円約37,307円
母子・父子世帯約24.5万円約20,382円
その他(独身など)約31.6万円約26,315円

調査結果をみると、夫婦のみの世帯よりも子どもがいる世帯のほうが年間の払込保険料は高い傾向にあります。

年間の払込保険料がもっとも高いのは、夫婦と扶養していない子どもがいる世帯となりました。扶養していない子どもとは、独立した子どもであると考えられます。

夫婦と扶養していない子どもがいる世帯よりも、幼い子どもがいる夫婦世帯のほうが、一般的に手厚い死亡保障が必要です。

にもかかわらず、子どもが独立している世帯の平均払込保険料がもっとも高いのは、10年更新などの保険に加入しており、年齢が上がるごとに保険料が高くなっていることが原因の一つにかもしれません。

生命保険を選ぶ際の4つのポイント

保険料の安さだけで、加入する生命保険を選ぶのはおすすめできません。加入目的や万が一のときに必要な金額、保障が必要な期間をもとに保障内容を優先して検討することが大切です。

また、予算を決めておくことで保険料の支払いが家計に負担を与えにくくなります。

1.生命保険に加入する目的を決める

まずは、生命保険に加入する目的を決めましょう。

例えば、自分自身が亡くなったあとに残された家族の生活費や子どもの教育費に備えることが生命保険に加入する目的であるとしましょう。

子どもがまだ小さい場合、手厚い死亡保障が必要になりやすいです。そのため、割安な保険料で万が一に手厚く備えられる定期保険や収入保障保険などが、主な選択肢となります。

一方で、亡くなったあとの葬儀費用や遺品の整理費用などを準備したいのであれば、保障が一生涯である終身保険を選ぶのも方法です。

生命保険以外の保険を選ぶ際も、加入目的を考えることが重要です。仮に加入目的が「病気やケガに備えたい」であれば、医療保険を選ぶと良いでしょう。「がんに手厚く備えたい」の場合は、がん保険やがん特約付きの医療保険が主な選択肢となります。

2.必要な保障額を考える

続いて、万が一のときにいくらの金額が必要であるかを考えます。

生命保険の場合、亡くなったあとに必要な保障額を決めるときは、残された家族の支出見込額から収入見込額を差し引いて、不足分を算出するのが一般的です。

支出見込額と収入見込み額については、以下をご参照ください。

〇残された家族の支出見込額と収入見込額

支出見込額収入見込額
・家族の生活費
・子どもの教育費
・住居費用
・葬儀費用・お墓代 など
・公的保障:遺族年金・老齢年金
・企業保障:死亡退職金・弔慰金
・自己資産:預貯金・株式・投資信託
・配偶者の就労収入・退職金 など

残された家族の生活費は、現在の生活費の50〜70%程度で考えることがあります。

子どもがいる夫婦世帯で家計を支えている人の必要保障額を計算する場合「子どもが独立するまでの期間」と「残された配偶者が平均寿命を迎えるまでの期間」で生活費を分けて計算するのが一般的です。

また、必要保障額を計算するためには、残された家族が受けられる公的制度や企業の福利厚生制度なども確認する必要があります。

生命保険の必要額については、こちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

3.保障が必要な期間を決める

生命保険の保険期間を必要以上に長く設定すると、保険料を払いすぎてしまう恐れがあります。そのため、保障がいつまで必要なのかを考え、保険期間を適切に設定することが重要です。

保障が必要な期間は「子どもが独立するまで」「定年退職を迎えるまで」「一生涯」など、人によって異なります。

例えば、子どもが独立するまでの死亡保障を準備するのであれば、子どもが独立する年に保険期間が満了となるように設定をすると良いでしょう。

4.保険料の予算を決める

保障が必要な期間も決まったら、毎月の家計からいくらの保険料を払えるのかを考えましょう。予算は、余裕のある金額に設定をすることがポイントです。

人生では、転職や配置転換、パートナーの離職などで収入が減少してしまうことがあります。また、家族の人数が増えたり子どもが成長したりすることで、毎月の支出が増えてしまうこともあります。

予算にある程度の余裕がないと、収入が減少したときや支出が増加したときに保険料の支払いが苦しくなるかもしれません。そのため、収入の減少や支出の増加を想定して予算を決めることで、保険料の支払いが負担になりにくくなります。

生命保険の保険料を抑えるポイント

生命保険は、保険料の安さだけで選ぶべきではありません。とはいえ、家計の圧迫を防ぐためにも、毎月の保険料負担は抑えたいと考えている人は多いのではないでしょうか。

そこで、ここでは生命保険の保険料を抑えるポイントをご紹介します。

特約は必要なものに絞る

生命保険の多くは、主契約である死亡保障に特約を付けて保障を手厚くできます。その一方で、特約を付けると保険料は高くなっていきます。

いくら保障を手厚くできたとしても、保険料負担が家計を圧迫してしまっては本末転倒でしょう。また、すでに医療保険やがん保険などに加入している場合、医療特約やがん特約を付けると保障が重複してしまうことがあります。

そのため、生命保険に加入する際は、すでに契約している保険の保障内容も確認し、必要な特約に絞ることが大切です。

複数の商品を比較して選ぶ

保険会社によって、保険料の計算方法や割引制度、主力としている商品が異なります。保険料負担を抑えたいのであれば、複数の商品を比較して選ぶことが大切です。

「聞き慣れない専門用語が多い」「仕組みが複雑でわかりにくい」などの理由で、商品を比較することなく生命保険を選ぶ人もいます。

しかし、商品を比較しなければ検討している商品の保険料が割安であるかどうかを判断するのは困難でしょう。必要な保障を決めたうえで、複数の商品を比較して選ぶことが、保険料を抑える重要なポイントです。

定期的に見直しをする

人生では、家族構成や生活環境などが変化していくのが一般的です。生命保険に加入した当初は保障内容が生活背景に合っていたとしても、ライフステージが変化すると適さなくなってしまうことがあります。

生命保険に加入したあと、生活背景に変化が生じたときは、保障内容を見直すことで保険料を抑えられる可能性があります。

例えば、子どもが独立して夫婦二人での生活が始まるとしましょう。生命保険に加入するとしても、基本的に独立した子どもの生活費まで備える必要はありません。

子どもがまだ幼いころに死亡保障が手厚い生命保険に加入していた場合、子どもの独立をきっかけに死亡保障を減らすと保険料負担を抑えることが可能です。

ライフステージの変化にあわせて生命保険を適切に見直すことで、余分な保険料の支払を防げるでしょう。

保険のプロに相談する

生命保険に加入するときは、必要保障額や保障が必要な期間などをもとに、自分自身に合った保障内容を検討する必要があります。とはいえ、保険や公的制度などの専門知識がなければ、保障内容を考えるのは困難でしょう。

また、数多くの生命保険会社が生命保険を取り扱っています。数多くの選択肢の中から、ご自身に合った商品を見つけようとすると、時間がかかりやすいです。

そこで、生命保険に加入する際は、保険の代理店やファイナンシャルプランナーなどに相談をすることをおすすめします。保険の専門家に相談をすることで、保障内容が適切かつ保険料負担を抑えた商品が見つかりやすくなります。

まとめ

保険料負担を抑えて万が一に手厚く備えたいのであれば、掛け捨て型の生命保険を中心に検討をすると良いでしょう。また、保険会社によって保険料の計算方法や割引制度などが異なるため、複数社を比較して選ぶのも有効です。

ただし、保険料の安さだけを基準に生命保険を選ぶのはおすすめできません。保険会社ごとの保険料を比較する前に、生命保険に加入する目的や必要保障額、保障が必要な期間などをもとに、保障内容を検討しましょう。

保険料を抑えつつ万が一に適切に備えたい方は、保険の代理店やファイナンシャルプランナーに相談をすることをおすすめします。

保険コンパスなら、何度でも相談無料です

監修者プロフィール

宮里 恵
(M・Mプランニング)

保育士、営業事務の仕事を経てファイナンシャルプランナーへ転身。
それから13年間、独身・子育て世代・定年後と、幅広い層から相談をいただいています。特に、主婦FPとして「等身大の目線でのアドバイス」が好評です。
個別相談を主に、マネーセミナーも定期的に行っている他、お金の専門家としてテレビ取材なども受けています。人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。

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