病気やケガ、死亡や高度障害状態などのリスクに備えられる生命保険。特に年齢が若く、収入が限られる20代女性の中には、「まだ生命保険に加入しなくても良い」「生命保険に加入する必要性が分からない」と考える人もいるのではないでしょうか。
この記事では20代女性が生命保険に加入する必要性やおすすめの生命保険、生命保険を選ぶ際のポイントや注意点について詳しく説明します。
生命保険の基礎知識
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20代の女性にとって生命保険が必要かどうかを考えるときは、加入する目的や種類を理解することが重要です。ここでは、生命保険の必要性を検討するときに知っておきたい加入目的や商品の種類をみていきましょう。
生命保険に加入する目的
生命保険文化センターの調査によると、20代女性が生命保険に加入する主な理由は以下の通りです。
生命保険に加入する理由
・ケガや病気になった際の医療費のため:63.4%
・万一死亡した時のため:14.6%
・ケガや病気で収入が途絶えた時のため:7.3%
・老後の生活資金のため:4.9%
・要介護状態となった時のため:0.8%
・貯蓄のため:0.8%
※参考:生命保険文化センター「2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」(2023年3月発行)」
調査結果をみると、20代の女性はケガや病気になったときに必要になる医療費に備えて、生命保険に加入する人の割合がもっとも多い結果となりました。ケガや病気で収入が減少したときに備えて加入している人の割合も合わせると、7割を超えています。
一方で、万が一の死亡に備えて生命保険に加入する人も一定数いるようです。生命保険に加入する目的は人それぞれであるため、検討する際はどのリスクに備えたいのかを考えることが大切です。
生命保険の種類
生命保険とは、基本的に被保険者(保険の対象になっている人)が亡くなったときに保険金が支払われる死亡保険のことを指します。死亡保険は、保険会社が定める高度障害状態になったときも、保険金が支払われるのが一般的です。
死亡保険には、以下のような種類があります。
生命保険の種類
・定期保険:保険期間(保障される期間)が「10年間」や「60歳まで」などの一定期間である死亡保険
・終身保険:一生涯にわたって死亡と所定の高度障害状態に備えられる死亡保険
・収入保障保険:被保険者が亡くなったときの保険金が満期まで毎月または一括で支払われる死亡保険
定期保険と収入保障保険は、保険期間が一定である点は共通しています。一方で、定期保険は死亡保険金が一括で支払われるのに対し、収入保障保険は分割または一括で保険金を受け取れます。
終身保険には貯蓄機能があり、途中で解約をすると解約返戻金を受け取ることが可能です。契約内容や加入していた期間によっては、払い込んだ保険料を上回る解約返戻金を受け取れることもあるため、終身保険は将来に向けた資産形成にも活用できます。
また、病気やけがに備えられる医療保険や、がんに手厚く備えられるがん保険、所定の介護状態に備えられる介護保険なども、広い意味での生命保険に分類されます。
20代女性は生命保険に入るべき?加入率や入院時の自己負担を解説
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では、20歳代女性のうち生命保険に加入している人はどれくらいいるのでしょうか。入院をしたときの医療費や得られなくなった収入の平均額とあわせてご紹介します。
20代女性の生命保険加入率
生命保険文化センターの調査によると、 疾病入院給付金が支払われる生命保険(医療保険)に加入している20歳代女性の割合は43.8%でした。
女性全体の加入率が70.1%であるため、20歳代女性の加入率は全体と比較すると低い傾向にあるといえます。
また同調査によると、20歳代女性にケガや病気に対する不安の内容を質問したところ「長期の入院で医療費がかさむ」と回答した人の割合が54.0%ともっとも多い結果となりました。
※参考:生命保険文化センター「2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」(2023年3月発行)」
入院時の自己負担と逸失収入
生命保険文化センターの「2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」(2023年3月発行)では、直近の入院時に発生した入院費用と、入院によって得られなくなった収入(逸失収入)の総額が調査されています。20歳代女性の場合、入院費用と逸失収入の総額は平均12万円でした。
また、入院費用と逸失収入の総額が「10~20万円未満」と回答した人の割合が54.5%と半分を占めています。
病気やケガを治療する目的で入院した場合、公的医療保険からの給付を受けることで医療費の自己負担が3割となります。ひと月あたりの自己負担が高額になったときは「高額療養費制度」を申請することで、負担を軽減することが可能です。
しかし、公的医療保険の給付を受けたとしても、入院をするといくらかの自己負担がかかるだけでなく、収入が減少する可能性もあります。
入院をしたときに、医療費の支払いや収入の減少などで生活が苦しくなる可能性がある人は、医療保険に加入しておくと安心でしょう。
※参考:生命保険文化センター「2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」(2023年3月発行)」
20代女性が支払う生命保険料の相場
生命保険文化センターによると、20代女性が支払った1年あたりの保険料の相場は9.6万円です。
その後、年齢を重ねるとともに金額が増加して、50代女性では19.0万円と最も高くなります。
参考:
生命保険文化センター「2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」(2023年3月発行)」
20代女性が生命保険に加入する必要性とは?
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「今のところ病気とは縁がない」という理由で、生命保険に加入していない人もいるかもしれません。
しかし、多くの生命保険では、年齢を重ねて病気やケガなどのリスクが高まるとともに保険料も上がります。将来生命保険に加入したいと思っても、年齢によっては保険料が高くて保障を続けられなくなる可能性があるため、保険料を抑えやすい20代のうちに生命保険を検討したほうが良いでしょう。
また、生命保険に加入するときは、健康状態を告知する必要があります。病気になってから加入を検討しても、保険会社の審査結果次第では加入できない可能性もあり、加入できたとしても保障が制限されることがあります。
20代独身女性が生命保険を検討するときのポイント
低い年齢で死亡や高度障害状態になるリスクは低いですが、こうした事態が起こらないとは言い切れません。不測の事態に備えて、葬儀代やお墓の購入費用などをカバーできる程度の死亡保険を検討すると良いでしょう。
また、死亡や高度障害状態に至らなくても、病気やケガを負うリスクはあります。程度によっては手術を受けたり入院が長期化したりする場合があるので、高額な医療費負担に備えて医療保険を検討することも大切です。
20代既婚女性が生命保険を検討するときのポイント
20代既婚女性の場合、自分自身に加えて配偶者や子どもなど、家族への保障も考えなければなりません。独身のときよりも手厚い死亡保険や医療保険を検討する必要があるだけでなく、共働き世帯であれば「就業不能保険」のように、長期間働けなくなったときの収入を保障する保険を検討するという選択肢もあります。
また、自身にもしものことが起こると、家族の生活費に加えて子どもの教育資金も不足する可能性があります。こうしたリスクに備えるには「学資保険」を検討して子どもの就学や進学にかかる費用をカバーできるようにしておくと安心です。
20代女性が生命保険を選ぶ際のポイント
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豊富な種類がある生命保険ですが、生命保険を選ぶときは、次のポイントを意識することが大切です。
生命保険を選ぶときのポイント
・必要な保障額を把握する
・適切な保険期間を設定する
・女性特有の病気に手厚く備える
・ライフステージに合った生命保険を選ぶ
必要な保障額を把握する
まずは自分自身や家族などにどれくらいの備えが必要か把握しましょう。必要な保障額は、自分が死亡または高度障害状態になったときや、病気やケガなどで入院や手術などが必要になったときに用意したい資金です。
例えば、「葬儀代として300万円用意したい」「子どもの学費を貯めるために1,000万円の保障を用意したい」と考えれば、死亡保険や学資保険などで必要保障額に対応するプランを検討します。必要保障額は、現在の収入や貯蓄、家族構成やライフプランによって変わるので、自分自身の状況と照らし合わせながら決めましょう。
また、保険会社や保険代理店、ファイナンシャルプランナーに相談し、必要保障額を試算してもらうのもおすすめです。
適切な保険期間を設定する
保険期間は、万が一の備えを用意する期間です。多くの生命保険では、「定期型」と「終身型」に分かれているため、それぞれの特徴を理解したうえで適切な保険期間を設定する必要があります。
定期型
定期型には、保険期間を10年や20年のように一定期間に限定したり、保険期間を年齢で設定できたりするタイプです。保険料が割安に設定されていますが、貯蓄性は低いと言えます。
たとえば、満期の際に受け取れる「満期保険金」のある商品はほとんどありません。解約時に受け取れる「解約返戻金」も受け取れないか、受け取れたとしてもごくわずかになる可能性が高いです。また、更新時には保険料が上がる点も考えておく必要があります。
終身型
終身型の生命保険は、万が一の備えが一生涯続く生命保険です。年齢に関わらずいつまでも病気やケガ、死亡や高度障害状態などのリスクに備えられます。
また、貯蓄性のある終身保険では「満期保険金」や「解約返戻金」があります。
そのぶん終身型の生命保険は、基本的に定期型よりも加入時の保険料は割高です。しかし、年齢が低いほど割安な保険料で加入できるものが多く、その保険料が一生涯続くものも多いので、更新するたびに保険料が上がるものが多い定期型よりも将来負担する保険料を抑えられる場合があります。
さらに、保険料の払い込み期間を一定年齢や一定期間で終える「短期払い」にすれば、払い込み起案が終われば保険料を負担せずに備えを用意し続けることも可能です。
保険料を一生涯払い続ける「終身払い」よりも月々の保険料の負担は増えますが、将来保険料を払えなくなるリスクを抑えることができます。
女性特有の病気に手厚く備える
乳がんや子宮頸がんのように女性特有の病気に備えておくことも大切です。医療保険の女性特約などで備えれば、入院給付金や手術給付金などを基本保障に加えて手厚い保障を受け取れられます。
病気の種類や程度によっては入院が長引くこともあるため、基本保障とあわせて検討してみると良いでしょう。
ライフステージに合った生命保険を選ぶ
就職や結婚、出産や住宅購入など、控えているライフイベントはさまざまです。将来どのようなライフステージの変化が予想され、それに伴ってどれくらいの保障が必要か考えると、備えるべきリスクをイメージしやすくなります。
例えば、一人暮らしで就職が決まったのであれば、働けなくなったときの保障や病気やケガの保障、結婚や出産の予定があれば、死亡時に家族に遺せる保障を手厚くするといったことが考えられます。
20代女性が生命保険を選ぶ際の注意点
20代女性が生命保険を選ぶ際の注意点
・健康状態が良いときに生命保険に加入する
・貯蓄だけでリスクに備えようとしない
それぞれを詳しく見ていきましょう。
健康状態が良いときに生命保険に加入する
生命保険に加入するときに、現在の健康状態や過去の一定期間内でかかった病気などを保険会社に告知しなければなりません。
もし、一定期間内に入院や手術を受けたり、精神疾患やがんと診断されたりすると、生命保険への加入を断られる可能性があります。
もちろん、こうしたケースに該当しても、加入時に告知する項目が少ない引受基準緩和型の生命保険を選べば、保障を用意できるかもしれません。
しかし、引き受け基準を緩和した生命保険は、通常の生命保険よりも保険料が割高になり、保障に制限を設けられることもあるため、いざというときに十分な保障が受けられない可能性があります。
このようなリスクを抑えつつ備えを用意するためにも、健康状態が良いときに生命保険に加入することが大切です。
貯蓄だけでリスクに備えようとしない
「ある程度の収入があるから貯金でリスクをまかなおう」「少しずつ貯蓄すればいずれ資金が貯まるだろう」と考えている人もいるかもしれません。
しかし、病気やケガの程度によっては医療費の自己負担額が高額になったり、死亡したときに十分な金額を用意できていない可能性があります。また仕事ができない期間が発生すると収入も減ってしまいます。
十分な資産がある場合は別ですが、保険に入っておらず、自己資産を大きく減らす結果になれば、その後の生活が不安定になりかねません。
まとめ
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20代の女性は病気になるリスクがその後の世代よりも低いことから、必要性を感じないかもしれません。しかし、事故や病気は予測できるものではなく、突然やってくるものです。健康状態が良いほど保険料を抑えて必要な備えを用意しやすくなるので、早めに生命保険選びを始めることも選択肢の1つとして持っておくと良いでしょう。
20代では、就職、一人暮らし、結婚、出産など、さまざまなライフステージが変化しやすい年代とも言えます。将来備えたいリスクに対する考え方は違うため、生命保険を検討する際は自分自身の人生設計にあわせて必要な保障を考えましょう。
どのような保険に加入すればいいのかわからないという場合は、保険代理店やファイナンシャルプランナーに相談するといいでしょう。保険コンパスでは、保険の相談が無料でできるので、ぜひ利用してみてください。
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宮里 恵
(M・Mプランニング)
保育士、営業事務の仕事を経てファイナンシャルプランナーへ転身。
それから13年間、独身・子育て世代・定年後と、幅広い層から相談をいただいています。特に、主婦FPとして「等身大の目線でのアドバイス」が好評です。
個別相談を主に、マネーセミナーも定期的に行っている他、お金の専門家としてテレビ取材なども受けています。人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。