掛け捨て型死亡保険の特徴とは?どのような人におすすめかも解説

- ■死亡保険とは
- ■死亡保険の種類とは
- – 掛け捨て型死亡保険
- – 貯蓄型死亡保険
- – みんなは掛け捨て型と貯蓄型どちらに加入している?
- ■掛け捨て型の死亡保険の特徴
- – 月々の保険料の負担が軽い
- – もしもの時には所定額の保障を受けられる
- – 保障に該当する事案がなければお金を受け取れない
- – 別の保険に切り替えるなどの見直しがしやすい
- ■掛け捨て型の死亡保険はどのような人に合う?
- – 月々の保険料を抑えたい人
- – 将来に備える保険金額が定まっていない人
- – 資産運用を自身で行うことができる人
- – ライフプランが流動的な人
- ■掛け捨て型死亡保険に加入する際の注意点
- – 途中で解約した場合はお金がほとんど戻らない
- – 保険期間に注意
- ■まとめ
死亡保険とは
死亡保険は、どのような人にも降りかかる「死亡」というリスクに備える保険。保険に加入している人に万が一のことが起こったときに、残された家族などの受取人に対して保険金が支払われるのが特徴です。死亡保険という名称から、保険金が支払われるタイミングは被保険者が死亡したときだけだと思われがちですが、保険の対象となる人が死亡したときだけでなく、高度障害状態になった場合にも保険金を受け取ることができます。
死亡保険の種類とは
死亡保険は、大きく分けて「掛け捨て型死亡保険」と「貯蓄型死亡保険」に分類できます。将来のライフプランに沿って適切な備えを用意するためには、これらの種類ごとの特徴を正しく理解しておくことが大切です。
ここからは、掛け捨て型と貯蓄型の特徴や、2つのうちどちらに加入している人が多いのかについて説明します。
掛け捨て型死亡保険
掛け捨て型死亡保険は、その名の通り支払った保険料が掛け捨てになるタイプの死亡保険。一定期間内に保険の対象となる人に万が一のことが起こった場合、受取人に対して死亡保険金が支払われるようになっています。
保険期間は年齢や年数などで決めることがほとんどで、あらかじめ設定しておいた保険期間が満期を迎えると、その時点で保障を終了するか更新するかを選ぶようになるのが一般的です。
貯蓄型死亡保険
貯蓄型死亡保険は、将来の死亡や高度障害状態といったリスクに備えるとともに、払い込んだ保険料が何かしらの形で返ってくるという、貯蓄機能も持っている保険。
保険会社が保険料を長期間運用することで積立金額が増えていくと期待されているため、保険料の払込期間を満了した時点で、解約したときに受け取れるお金である「解約返戻金」の額が、払込保険料より高くなるケースがあるのが特徴。
資産形成の手段にもなることから、「万が一の事態に備えながら老後資金も用意しておきたい」という人から選ばれる傾向があります。貯蓄性が高い代わりに、保険料は掛け捨て型よりも高くなりやすい点も覚えておきましょう。
みんなは掛け捨て型と貯蓄型どちらに加入している?
2020年11月におこなった編集部の独自調査によると、死亡保険に加入している人のうち52.2%は、掛け捨て型死亡保険に加入していることが分かっています。残りの47.8%は貯蓄型死亡保険を選んでいることから、貯蓄型と掛け捨て型を選ぶ人の割合は、半々程度であることが分かります。
掛け捨て型の死亡保険の特徴
掛け捨て型死亡保険にすべきかどうかを判断するためには、掛け捨て型死亡保険の特徴についてよく知っておくことが大切。掛け捨て型死亡保険には、一般的に下記4つの特徴があるとされています。
これらの特徴を理解しておけば、保険の加入時に掛け捨て型を選ぶべきかを判断しやすくなるでしょう。ここからは、掛け捨て型死亡保険の特徴について詳しく説明します。
月々の保険料の負担が軽い
1つ目の特徴は、月々の保険料の負担が軽いこと。
保険料の負担が大きくなるほど、自由に使えるお金は制限されてしまいます。一般的に貯蓄型死亡保険よりも掛け捨て型死亡保険のほうが支払う保険料は安くなっているため、掛け捨て型死亡保険を選ぶことで家計の負担を抑えやすくなるでしょう。
また、掛け捨て型死亡保険では、保険料の負担を抑えやすい分、それだけ生活費や貯蓄、資産運用といった使い道を選びやすくなります。将来的なお金の使い道がはっきりしているのであれば、掛け捨て型死亡保険を選ぶメリットは大きいといえるでしょう。
もしもの時には所定額の保障を受けられる
2つ目の特徴は、もしもの時には所定額の保障を受けられること。
掛け捨て型死亡保険は、月々の保険料を抑えやすいことから、保障内容も限定的だと思われがちです。しかし、掛け捨て型死亡保険は、貯蓄型死亡保険のように保険期間が長くならないことが多いので、それだけ保険料を抑えやすくなっています。
将来どれくらいの備えを用意しておきたいかという希望を明確にして、柔軟に保険期間や保障内容を選べるようにしておきましょう。
保障に該当する事案がなければお金を受け取れない
3つ目の特徴は、保障に該当する事案がなければお金を受け取れないこと。
掛け捨て型保険では、月々の保険料が安く抑えやすいぶん、保障された内容に該当する事案が起きなければ保険金を受け取ることができません。たとえば、医療保険の場合、ケガや病気といった事態が起こらなければ、支払った保険料が戻ってこないことがほとんどです。また、保険金の満期に達したときに受け取れる「満期金」がないのも、掛け捨て型死亡保険の特徴だといえます。
別の保険に切り替えるなどの見直しがしやすい
4つ目の特徴は、別の保険に切り替えるなどの見直しがしやすいこと。
保険の加入期間が長くなるほど解約返戻金が増えやすい貯蓄型死亡保険は、途中で別の保険に切替えることで、これまで支払ってきた保険料がほとんど返ってこなくなる危険性があります。そのため、「よほどのことがない限り貯蓄型死亡保険を見直すことはできない」と考えておいたほうがよいかもしれません。
一方、掛け捨て型死亡保険であれば、そもそも解約返戻金という概念を設けていないことがほとんどなので、ライフステージの変化などの理由で保険の切替えや見直しがしやすくなっています。
掛け捨て型の死亡保険はどのような人に合う?
「掛け捨て型の死亡保険の特徴は理解できたが、自分に合っているかが分からない」と考える人もいるでしょう。ご自身が掛け捨て型の死亡保険が適しているかどうかを判断できるように、掛け捨て型の死亡保険が合う人の特徴について説明します。
これらの特徴に該当するようであれば、掛け捨て型の死亡保険がマッチしていると言えるでしょう。ここからは、掛け捨て型の死亡保険がある人の特徴について詳しく説明します。
月々の保険料を抑えたい人
1つ目は、月々の保険料を抑えたい人です。
先にも説明したように、掛け捨て型死亡保険は、保険期間が限定されやすい分、保険料を抑えやすくなっています。20代など、収入や貯蓄が十分でない人でも加入しやすくなっているので、「もしものときのために備えたいけれど、高い保険料を捻出するのが難しい」という人でも必要な備えを用意しながら安心して日常生活を送れるようになるでしょう。
また、保険料を抑えられれば、それだけ趣味や生活費などに回せるお金が増えることになります。将来のために備えを充実させておくことも大切ですが、日々の生活とのバランスを考えながら加入すべき保険を考えることも重要です。
将来に備える保険金額が定まっていない人
2つ目は、将来に備える保険金額が定まっていない人です。
死亡保険に加入するときは、将来もしものことが起こったときにどれくらいのお金が必要になるかをイメージしておくことが大切。しかし、数年ごとに大きく時代の流れが変わる近年は、数十年後のことまで考えるのは難しいかもしれません。
「長期的なライフプランが定まっていないけれども、まとまった死亡保険金は必要だ」と考えている人は、保険料を抑えてある程度の保障を用意できる掛け捨て型死亡保険を選んでおくと安心です。
資産運用を自身で行うことができる人
3つ目は、資産運用を自分自身で行える人です。
たとえば、投資を自身で行っている人など、老後資金のように将来的に必要になりうるお金を自分自身で用意できる人などは、掛け捨て型死亡保険を選ぶとよいでしょう。掛け捨て型死亡保険に加入していれば、保険料を抑えたぶん資産運用に回せるようになります。効果的な運用はできれば、貯蓄型死亡保険に加入するよりも資産を大きく増やせるかもしれません。
ただし、「お金があるとつい使ってしまう」という人の場合、安定的に資産を増やせなくなるかもしれないので注意が必要。強制的に老後資金を貯められるようにしたいのであれば、貯蓄型死亡保険を選んでおいたほうがよいでしょう。
ライフプランが流動的な人
4つ目は、ライフプランが流動的な人です。
たとえば、まだ結婚をしておらず将来家庭を持つかどうか決めていない人など、中長期的なライフプランが不明確な人は、今後必要になる備えが大きく変わることが考えられます。貯蓄型死亡保険に加入すると、簡単に保障内容や保険期間、契約する保険会社を切替えるといった対処ができにくくなるので、掛け捨て型死亡保険を選ぶのがおすすめです。
掛け捨て型死亡保険に加入していれば、解約返戻金や満期金を受け取れないことがほとんどです。しかし、月々支払う保険料が抑えやすく、解約やプラン変更によってライフプランに応じた適切な保障を用意できるので、時代が変化しても安心できる生活を維持しやすくなるでしょう。
掛け捨て型死亡保険に加入する際の注意点
ここまでで、掛け捨て型の保険の特徴や向いている人について説明してきました。もし掛け捨て型死亡保険への加入について検討している場合、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。具体的な注意点として、以下の2つが挙げられます。
途中で解約した場合はお金がほとんど戻らない
1つ目は、途中で解約した場合はお金がほとんど戻らないこと。
貯蓄型死亡保険は、保険料の支払い期間や払込保険料の金額などに応じて、解約したときに受け取れるお金である「解約返戻金」が受け取れることがほとんどです。解約返戻金の額は、保険期間の満期を超えると払込保険料よりも高くなることが多いですが、満期を迎える前に解約したとしてもある程度の金額を受け取ることは可能です。
しかし、掛け捨て型死亡保険の場合、そもそも解約返戻金という概念を設けていないものがほとんど。どれだけ保険期間が長かったり保険料を多く支払ったとしても、解約してしまうとまったくお金を受け取れないか、受け取れたとしてもごくわずかになってしまいます。そのため、死亡保険を途中で解約する可能性がある場合は、貯蓄型死亡保険を選んだほうがよいかもしれません。
保険期間に注意
2つ目は、保険期間に注意すること。
掛け捨て型死亡保険の多くは、10年や20年のように、あらかじめ保険期間が設定されています。そのため、継続的に備えを用意したいのであれば、保険期間が満了したタイミングで更新したり、別の保険に切替える必要があるのです。
貯蓄型死亡保険では、保険期間が終身タイプになっているものが多いので、保険期間を気にすることなく一生涯の保障を用意することが可能。保険を更新することで保険料が上がる心配も少ないので、長期的に同じ保障を維持させたいのであれば貯蓄型死亡保険を選んだほうがよいでしょう。
まとめ
ここでは、掛け捨て型死亡保険に焦点を当てて、保険の特徴や加入に向いている人の特徴、加入する際の注意点などについて説明しました。
死亡保険の加入時には、貯蓄型死亡保険と掛け捨て型死亡保険の違いを理解したうえで、自分に合ったほうを選ぶようにしましょう。また、持病の有無などによっても、選ぶべき保険の種類は変わってくるので、さまざまな商品を特約などと比較することも大切になります。
ここで説明した内容を参考にして、ライフプランに適した備えを用意できるようにしておきましょう。
保険コンパスなら、何度でも相談無料です。
監修者プロフィール
![]() |
宮里 恵
|
保育士、営業事務の仕事を経てファイナンシャルプランナーへ転身。 個別相談を主に、マネーセミナーも定期的に行っている他、お金の専門家としてテレビ取材なども受けています。 |