学資保険は、子供の教育資金を積み立てられる貯蓄型の保険です。保険料を支払い、子供が契約時に決めた年齢になると保険金や祝い金を受け取れます。

「学資保険は、子供が何歳になるまでに加入すると良いのだろうか」と悩んでいる方は、できるだけ早めに加入するのがおすすめです。子供や親の年齢が若いほど、より有利な条件で学資保険に加入できる可能性があるためです。

本記事では、学資保険は子供が何歳になるまで加入できるのかをご紹介したうえで、できるだけ早めに加入すると良い理由を解説します。学資保険に加入するタイミングで迷われている人は、ぜひ参考にしてください。

学資保険は何歳までなら加入できる?

学資保険は、原則として子供が0歳のときから加入できます。保険会社によっては、子供が生まれる前であっても、出産予定の140日前から学資保険に加入できます。

では、子供が何歳になるまで学資保険に加入できるのでしょうか?ここでは、学資保険に加入できる子供や親の年齢の制限について解説します。

子供が小学校に入学する前後までが一般的

保険会社によって取り扱いは異なりますが、学資保険の多くは子供が小学校に入学する6歳や7歳まで加入できるのが一般的です。子供が加入できる年齢に制限が設けられている主な理由は、保険料の運用期間を十分に確保するためです。

学資保険に限らず生命保険の多くは、契約者から支払われた保険料を保険会社が運用し、保険金の支払いに充てられています。

学資保険は、子供が18歳や22歳などの年齢に達すると、所定の保険金が支払われるのが一般的です。契約時の子供の年齢が高くなるほど、満期までの期間は短くなっていき、保険料を運用で十分に増やしにくくなります。

そこで運用期間を十分に設けるために、子供が加入できる年齢に制限が設けられているのです。

契約者(親・祖父母)の年齢にも制限がある

学資保険は、契約者となる父母や祖父母にも年齢制限が設けられています。契約者となる人の年齢に制限がある主な理由は、年齢が上昇すると死亡するリスクが上がるためです。

学資保険のほとんどには「保険料払込免除特約(特則)」が付いています。保険料払込免除特約とは、契約者である人が亡くなったり所定の重い障害状態になったりしたとき、以後の保険料の払い込みが免除される特約です。払い込みが免除されたあと、子供は契約時に定めた年齢に達すると、予定通り保険金や祝い金を受け取れます。

年齢を重ねるほど死亡するリスクは上昇していくため、契約者の年齢が高いほど保険料は高くなっていき、一定の年齢を過ぎると学資保険に加入できなくなります。

契約者の年齢制限は、保険会社や契約者の性別、契約時の子供の年齢、保険料の払込期間などさまざまな要素で異なります。

学資保険にできるだけ早く加入すべき理由

学資保険に加入するのであれば、できるだけ早めがおすすめです。その理由は、以下の通りです。

  • 早く加入するほど保険料が安くなる
  • 早めに加入するほど選択肢が多くなる
  • 保障を受けられる期間が長くなる
  • 生命保険料控除による節税効果が高まる可能性がある

早く加入するほど保険料が安くなる

学資保険は、被保険者(保障の対象となる人)である子供の年齢が若いほど、ひと月あたりに支払う保険料は安くなります。加入するタイミングが早いほど、保険料を払い込む期間が長くなるためです。

また、契約時の子供や親の年齢が若いほど、保険料の払込総額も安くなります。払い込んだ保険料に対してできるだけ多くの保険金を受け取りたいのであれば、子供が0歳のときに加入すると良いでしょう。

早目に検討をはじめると選択肢が多くなる

学資保険には年齢制限があり、子供の年齢が6歳を過ぎると商品の選択肢は少なくなってしまいます。裏を返せば、子供が0歳であるとき、加入できる学資保険の選択肢はもっとも多くなります。

子供が生まれると、授乳やおむつ替えなどの育児に追われ、学資保険を検討する時間が持てないかもしれません。保険会社によっては、子供が生まれる前から学資保険に加入できるため、可能であれば妊娠中に検討するのが望ましいです。

保障を受けられる期間が長くなる

学資保険にできるだけ早く加入すると、保険料払込免除による保障を受けられる期間も長くなります。

例えば、子供が3歳になったとき、一家の大黒柱である父親が交通事故で亡くなったとしましょう。もし貯蓄で教育資金を積み立てていた場合、父親に万が一のことがあると以後の積立が困難になり、子供が進学するときに資金が不足するかもしれません。

子供が0歳のときに、保険料払込免除特約が付いた学資保険に加入していれば、父親が交通事故で亡くなったあとは、保険料を払いことなく保険金や祝い金を受け取って教育資金として利用できます。

生命保険料控除による節税効果が高まる

学資保険に加入して保険料を支払うと「生命保険料控除」の対象となります。生命保険料控除とは、生命保険に加入して保険料を支払った人が受けられる税の優遇制度です。1年間で払い込んだ保険料に応じて決まる一定金額が、所得税や住民税を計算するときの所得から控除されるため、節税効果が期待できます。

学資保険の保険料は、一般生命保険料控除の対象です。所得税の計算時には最大4万円、住民税の計算時は最大2.8万円が控除されます。

早く学資保険に加入するほど、生命保険料控除を受けられる期間が長くなり、所得税や住民税の節税効果を高められる可能性があります。

学資保険の注意点

学資保険には、以下の注意点があります。加入を検討する際は、注意点を確認したうえで必要性を考えることが大切です。

  • 健康状態によっては加入できないことがある
  • 保険金や祝い金には税金がかかることがある
  • 途中で解約すると元本割れのリスクがある
  • インフレリスクがある

健康状態によっては加入できないことがある

保険料免除特約が付いた学資保険に加入する場合、契約者となる親や祖父母などの健康状態を告知して保険会社の診査を受けなければなりません。

持病がある人や過去に大病をわずらった経験がある人などは、学資保険に加入できない可能性があります。学資保険で教育資金を準備するのであれば、健康状態を損ねてしまう前に加入しましょう。

一方で、被保険者となる子供の健康状態を告知する必要はありません。ただし、病気またはケガによる入院や手術を保障する医療特約を学資保険に付けるときは、子供の健康状態を告知する必要があります。

保険金や祝い金には税金がかかることがある

学資保険の保険金や祝い金を受け取ると、税金が課せられることがあります。

例えば、契約者と保険金受取人が父親、被保険者が子供である学資保険に加入するとしましょう。子供が18歳を迎えたときに満期保険金を一括で受け取った場合は、所得税の課税対象となります。受け取った保険金と払い込んだ保険料の差が50万円を超えると、所得税を納めなければなりません。

また、契約者が父親、被保険者が子供、保険金受取人が母親のように、契約者と受取人が違う人物の場合、満期保険金や祝い金を受け取ると贈与税の課税対象となります。払い込んだ保険料の金額にかかわらず、受け取った満期保険金や祝い金から贈与税の基礎控除額である110万円を引いた金額に、贈与税が課せられます。

学資保険に加入する際は、保険金や祝い金に課せられる税金の決まり方を理解したうえで、契約者や被保険者、受取人をそれぞれ誰にするのか決めましょう。

学資保険の保険金や祝い金に課せられる税金については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

「学資保険の受け取りで発生する税金の種類|節税効果を高めるコツについて」

途中で解約すると元本割れのリスクがある

保険料の払い込み途中で学資保険を解約すると、返ってくるお金(解約返戻金)が 払い込んだ保険料の総額を下回り、元本割れが発生することがあります。

学資保険を契約するときは、保険料の払込額に問題がなかったとしても、転職による収入の減少や、物価の高騰による生活費の上昇など、さまざまな要因で支払いが困難になることがあります。

学資保険に加入するときは、将来的に収入の減少や支出の増加が発生しても支払いを継続できるか、よく検討することが大切です。また、積み立てた資金を、住宅の購入資金や退職したときの収入減少の補填など、教育資金以外にも使う可能性があるのなら、元本保証がある貯蓄も利用することをおすすめします。

インフレリスクがある

インフレリスクとは、将来的に物価が上昇することで、保険金や祝い金の価値が目減りするリスクのことです。将来的にインフレが発生すると、受け取った保険金や祝い金の価値が目減りする可能性があります。

例えば、学資保険を契約したときは1個1,000円で買えたモノが、保険金を受け取るときには1個2,000円に値上がりしていたとしましょう。モノの価値は2倍に上がっているますが、お金の価値は半分に下がっています。仮に保険金の受取額が200万円であった場合、契約時の基準で考えると100万円相当の価値しかありません。

学資保険に加入するだけでなく、投資信託を積み立てるなど、複数の手段を用いて教育資金を準備すると良いでしょう。

終身保険で教育資金を準備する場合は何歳までに加入する?

学資保険の代わりに、終身保険に加入して教育資金を準備する方法もあります。終身保険は、亡くなったときと所定の高度障害状態に、一生涯備えられる生命保険です。

終身保険に加入後、一定期間が経過したあとに解約すると、それまで払い込んだ保険料以上の解約返戻金を受け取れることがあります。そのため終身保険に加入すると、万が一に備えながら、教育資金の準備が可能です。

一方で保険料の払込期間が短いと、解約返戻金が払い込んだ保険料の総額を下回り元本割れが発生します。商品にもよるため一概にはいえませんが、少なくとも15年は保険料を払い込まなければ、解約返戻金は払込保険料の総額を上回りません。(10年払い済みの場合でも15年を経過しなければ返戻率は100%を超えません)

例えば、子供が18歳になったときに大学へ進学するための資金を、終身保険で準備するのであれば、子供が3歳になるまでには加入したほうが良いでしょう。

終身保険で教育資金を準備するときは、保険料の払込期間を「15年払済」や「55歳払済」などに設定しましょう。一生涯にわたって保険料を払い込む「終身払い」にすると、保険料の払込期間にかかわらず元本割れが発生するためです。

また、解約返戻金の額が払込保険料の総額を上回るのは、基本的に保険料を払い終えたあとです。終身保険の解約返戻金を教育資金に充てるのであれば、資金が必要となる時期を迎える前に、保険料の払い込みが終わるように払込期間を設定しましょう。

まとめ

学資保険の多くは、子供が小学校に入学する前までであれば加入することができます。しかし、子供や親が年を重ねるほど学資保険の保険料は高くなっていきます。子供が6歳を超えると商品の選択肢が少なくなるため、学資保険はできるだけ早いうちに加入するのがおすすめです。

また「保険料払込免除特約による保障を長く受けられる」「所得税や住民税の節税効果が高まる可能性がある」など、学資保険に早く加入すると、多くのメリットを得られます。

一方で学資保険には、元本割れのリスクやインフルリスクなどがあります。注意点を理解したうえで学資保険に加入し、必要に応じて貯蓄や投資なども活用して、計画的に教育資金を準備していきましょう。

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監修者プロフィール

宮里 恵
(M・Mプランニング)

保育士、営業事務の仕事を経てファイナンシャルプランナーへ転身。
それから13年間、独身・子育て世代・定年後と、幅広い層から相談をいただいています。特に、主婦FPとして「等身大の目線でのアドバイス」が好評です。
個別相談を主に、マネーセミナーも定期的に行っている他、お金の専門家としてテレビ取材なども受けています。人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。

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