証券口座を複数開設するメリット・デメリットは?|おすすめの証券会社や確定申告の注意点

証券口座は複数開設すべき?

証券口座は何個まで開設できるの?

2つ目の証券口座を開設したいと思ったとき、このように疑問を抱く人もいるでしょう。証券会社によって、商品の取扱数や提供されている分析ツールなどが異なるため、複数の証券口座を開設して使い分けるのも1つの方法です。

本記事では、証券口座を複数開設する必要性やメリット、デメリットをわかりやすく解説します。 おすすめの証券会社も紹介するので、証券口座の開設を検討している人はぜひ参考にしてください。

監修者紹介
ライター
品木 彰(シナキアキラ) さん
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大手生命保険会社にて7年半勤務し個人営業と法人営業の両方を経験のちに、人材会社にて転職エージェントとしての勤務を経て2019年1月に独立。保険や不動産、投資、税金など幅広いジャンルの記事を執筆・監修している。
HP:https://daisakukobayashi.com/
Twitter:https://twitter.com/Daisaku_sw

証券口座は複数開設できる?

証券口座 複数の証券会社にて開設可能
NISA口座 1人につき1口座のみ開設可能
iDeCo 1人につき1口座のみ開設可能

証券口座は基本的に1つの証券会社につき1口座しか開設できません一方で、異なる証券会社であれば、複数の証券口座を開設できます

ただし、NISA口座については、1人につき1口座に制限されています。NISAとは少額投資非課税制度のことです。金融商品の投資で得た利益には、本来であれば20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で取り引きしていた場合は非課税となります。

NISA口座は複数の証券会社で開設できませんまた、NISA口座を開く証券会社は1年単位でしか変更できないため、開設先は慎重に選びましょう。

また、iDeCoも同様に複数の証券会社で開設することはできません。運営管理機関変更手続きをおこなうことで別の証券口座への切り替えは可能です。

複数の証券口座を持つ必要性・メリット

証券口座を複数開設するメリット

証券口座を複数の金融機関で開設するメリットについて順に解説していきます。

証券会社ごとの強みを生かせる

証券会社によって利用できる取引ツールや分析ツール、注文方法が異なります。ツールの使いやすさや注文のしやすさは、実際に取引をしてみなければわかりません。

複数の証券口座を開設して、実際にツールを利用したり注文をしたりすることで、自分自身に合った証券会社を選びやすくなります

また、利用できるスマホアプリや閲覧できる経済ニュース、メルマガの内容、売買手数料なども証券会社によって異なります各証券会社の強みに応じて、口座を使い分けるのも1つの方法でしょう。

複数の証券口座があると「市場分析はツールが使いやすいA社、株式の取引は売買手数料が安いB社、情報収集はメルマガが読みやすいC社」のような使い分けができます。

関連記事:【2023年2月】おすすめのネット証券会社12選!投資家200人が選んだランキング

投資できる商品の幅が広がる

証券会社ごとに取り扱っている商品や強みとしている商品が異なりますそのため複数の証券会社で口座を開設すると、投資できる商品の選択肢が広がります。

一口に金融商品と言っても、株式や投資信託、債券など種類はさまざまです。投資信託のラインナップが豊富な証券会社もあれば、米国株や中国株などの取り扱いに力を入れる証券会社もあります。

また、証券会社によっては単元未満株を取り扱っています。株式は基本的に1単元(=100株)ごとの取引となりますが、単元未満株に投資できる証券会社に口座を開設すると、最低1株からの取引が可能です

POINT
複数の証券会社に口座を持っていると「A社は米国株、Bは投資信託、C社は単元未満株」といったように、幅広い投資が可能になります。

IPOの当選確率が上がる

IPO(新規株式公開)とは、未上場の企業が新規で証券取引所に株式を上場することです。

企業と証券会社が相談して決めた価格(公募価格)でIPO株を購入し、上場後に初値が付いたタイミングで売却することで利益を得られる可能性があります。

IPO株は、抽選に当たらなければ購入できないケースがほとんどです。またIPO株を取り扱う証券会社に口座を持っていなければ、抽選に申し込めません。

そのため、複数の証券会社に口座があると申し込めるIPO株の種類が増え、結果的に当選する確率を上げられる可能性があるのです。

リスクの分散ができる

証券会社のサーバーダウンやシステムトラブルの発生によって取引ができなくなると、購入や売却のタイミングを逃してしまうかもしれません。

また、口座を開設した証券会社が倒産すると、一時的に取引ができなくなる恐れがあります。

複数の証券口座を持つことで、一つの証券会社で取引ができなくなったり、万が一倒産してしまったりしてもリスクの分散ができます

証券口座を複数持つデメリットは存在する?

次は証券口座を複数持つデメリットを確認しましょう。

IDとパスワードの管理が煩雑になる

複数の証券会社で口座を開設すると、ログイン時に必要なIDとパスワードの管理に手間がかかります

すべての証券口座を同じIDとパスワードに設定するのは、セキュリティの観点から考えて推奨されるものではありません。

また証券会社によっては、IDとパスワードの変更を定期的に求められることがあります。そのため複数の証券口座を持っていると、IDとパスワードの管理に手間がかかると感じやすいのです。

資産の全体把握が難しくなる

また、証券口座が複数あると、資産全体の保有額を把握するときに各口座にある資産を集計しなければなりません。保有する口座の数が増えれば増えるほど、投資成績が全体でプラスかマイナスか把握しにくくなっていきます。

そのため、複数の証券口座を開設するとしても、自分自身に合っていると考えられる数社に絞ることをおすすめします口座を開設して実際に取引をし、ツールの利便性や注文のしやすさなどをもとに、自分自身に合った証券会社を選ぶと良いでしょう。

複数口座を持つ場合におすすめの証券口座

では、複数の証券口座を開設する場合、どの証券会社を選べば良いのでしょうか。証券会社選びに迷ったときのおすすめの3社を紹介します。

■おすすめの証券口座
楽天証券
SBI証券
マネックス証券

楽天証券

楽天証券

ー引用元:楽天証券

おすすめポイント
  • 楽天ポイントが貯まる・使える
  • 1日の取引金額100万円まで手数料0円
  • 高機能なトレーディングツールを利用できる

楽天証券では、楽天ポイントを使って投資信託の国内株式、米国株式などの購入が可能ですまた、楽天ポイントコースを設定し、ポイントを使って500円以上の投資信託を購入すると楽天市場のお買い物ポイントが+1倍になります。 

さらに、「いちにち定額コース」を選択すると、国内株式の取引について1日の取引金額100万円まで取引手数料が無料となります手数料を抑えて国内株式の取引をしたい人にはおすすめです。

楽天証券が提供するトレーディングツール「MARKET SPEED II」は、投資に役立つ機能が豊富です。

たとえば「アルゴ注文」を利用すると、あらかじめ登録した条件に合致したとき自動で注文されるため、日中は忙しい人でも取引のタイミングを逃しにくくなります。

口座開設数 700万口座以上
最低積立金額 毎月100円から
取扱制度・商品 NISA/つみたてNISA/iDeCo/IPO など
米国株式取扱銘柄数 4,500銘柄以上

楽天証券の評判・口コミ

楽天証券を実際に利用している人の評判・口コミを紹介します。

  • 40代 会社員
    取引ツールが初心者でも使いやすいです。楽天ポイントで投資信託が購入できます。
  • 30代 主婦
    つみたてNISAを楽天カード決済できるので、楽天ポイントが貯まってお得です。
  • 30代 会社員
    手数料が安めに設定されており、取り扱っている商品も豊富で使いやすい。
  • 40代 自営業
    貯めた楽天ポイントを、投資信託の購入に使えるところに魅力を感じています。
  • 40代 会社員
    楽天銀行の口座があれば簡単に紐づけができるので、お金の管理がしやすいです。
  • SBI証券

    SBI証券

    出典:SBI証券

    おすすめポイント
    • IPOの取り扱い実績が豊富
    • 1日の取引金額100万円まで手数料0円
    • TポイントやPontaポイントが貯まる

    SBI証券は、証券会社の中でもIPO株の取扱数が多いです2021年3月通期(2020年4月〜2021年3月)の全新規上場会社数の93.0%である80社を、SBI証券が取り扱っています。IPO株に投資したい人は、SBI証券の口座を開いておくと良いでしょう。

    売買手数料が割安なのもSBI証券の特徴です。「国内株式アクティブプラン」を選ぶと、国内株式取引をする場合、1日の約定代金が合計100万円までは売買手数料が0円となりますさらに、25歳以下の人は、現物での国内株式手数料が一律で実質0円です。

    また、株式の取引手数料や投資信託の保有額などに応じて、TポイントやPontaポイントが貯まりますポイントで投資信託の買い付けも可能です。

    口座開設数 840万口座以上※SBIグループ全体
    投信積立の最低購入金額 毎月100円から
    取扱制度・商品 NISA/つみたてNISA/iDeCo/IPO など
    米国株式取扱銘柄数 6,000銘柄以上

    SBI証券を使っている人の評判・口コミ

    SBI証券を実際に利用している人の評判・口コミを紹介します。

  • 20代 会社員
    サイト画面がとてもスッキリしていて、色使いや表記がシンプルで見やすいです。
  • 30代 会社員
    クレジットカード決済でVポイントが貯まるため、お得に投資することができます。
  • 30代 フリーランス
    売買手数料が安いので、手軽に株の売買を始めたいという方にぴったりだと思います。
  • 40代 サービス業
    取り扱っているIPO(新規公開株)が豊富な点が良いと感じました。
  • 20代 会社員
    1株から購入が可能なので、少ない資金でも始めやすいのが魅力です。
  • マネックス証券

    マネックス証券

    出典:マネックス証券

    おすすめポイント
    • 米国株の取り扱い銘柄が5,000以上
    • IPOは完全平等抽選
    • 1株から投資ができる

    マネックス証券は、米国株の取り扱い数が5,000超と豊富な証券会社ですまた、NISA口座で米国株を取引すると、買付時の取引手数料が実質0円となります。

    マネックス証券は、IPO株の抽選をするとき、1人につき1票の抽選権が与えられます抽選はコンピューターが無作為に行うため、投資の初心者や資産が少ない投資家でもIPO株に当選できる可能性があります。

    また、1株から株式に投資できるのもマネックス証券の良い点です。まとまった資金がなく小額で始めたいと考えている人は、マネックス証券なら1株ごとの小額から始められます。

    口座開設数 200万口座以上
    最低積立金額 毎月100円から
    取扱制度・商品 NISA/つみたてNISA/iDeCo/IPO など
    米国株式取扱銘柄数 5,000銘柄以上

    マネックス証券の評判・口コミ

    マネックス証券を実際に利用している人の評判・口コミを紹介します。

  • 40代 自営業
    米国株の取り扱いがかなり豊富であり、手数料も比較的安いのが魅力です。
  • 30代 会社員
    少額からスタートできるので、投資の練習として始めることができました。
  • 30代 会社員
    マネックスカードを利用した投資信託の定期積立が1.1%還元と高いのが魅力です。
  • 30代 主婦
    投資は主に米国株でおこなっているので、米国株に強いのが嬉しいです。
  • 30代 会社員
    情報量が多く、初心者も勉強になります。取引ツールも高性能で使い勝手が良い。
  • 証券口座を複数持つ場合におすすめの組み合わせ

    ここでは、複数証券口座を持つ際におすすめの組み合わせを解説します。

    取引手数料を抑えたい場合

    おすすめの組み合わせ
    • SBI証券×楽天証券

    取引手数料をできるだけ抑えたい方は、「SBI証券」と「楽天証券」の組み合わせがおすすめです。

    「SBI証券」(アクティブプラン)と「楽天証券」(いちにち定額コース)の2社は、約定金額100万円まで取引手数料が無料です。また、「松井証券」も50万円までは手数料がかかりません。

    IPO投資をしたい場合

    おすすめの組み合わせ
    • マネックス証券×SBI証券

    IPO(新規公開株)に当選したい方は、「マネックス証券」と「SBI証券」を組み合わせるとよいでしょう。

    マネックス証券は、IPO株の抽選をする際に1人1票の抽選権が与えられるため、投資の初心者でも当選できる可能性があります。SBI証券は、証券会社の中でもIPO株の取扱数が多い傾向にあります。

    外国株投資をしたい場合

    おすすめの組み合わせ
    • SBI証券×マネックス証券

    外国株に投資したい方は、「SBI証券」と「マネックス証券」の組み合わせがおすすめです。

    SBI証券は、米国株や中国株だけではなく7ヶ国の外国株に投資可能です。マネックス証券は、米国株の取り扱い数が5,000超と豊富なことが特徴で、中国株の銘柄数も非常に多くあります。

    少額投資をしたい場合

    おすすめの組み合わせ
    • マネックス証券×SBI証券
    • SMBC日興証券×PayPay証券

    少額投資を始めたい方は、「マネックス証券」と「SBI証券」を組み合わせるとよいでしょう

    どちらも1単元の株数に満たない単元未満株を購入できます。「SMBC日興証券」と「PayPay証券」は1,000円~で国内株へ投資可能です。

    少額投資できる証券口座には、投資初心者にとって有益な情報やサービスもあるので、投資をはじめたい方にもおすすめです。

    証券口座を複数持っている場合の確定申告について

    保有する証券口座で損失が発生している場合、確定申告をして損益通算をすると税負担を軽減できることがあります損益通算とは、発生した損失をほかの証券口座の利益と相殺できる制度です。

    証券口座には、いくつか種類があります。そのうち「特定口座・源泉徴収あり」を開設していた場合、取引で発生した利益に対する税金を証券会社が代わりに納めてくれます。

    しかし、ほかの証券会社の口座内で発生した損失までは税額の計算に考慮されません。損益通算をすることで、保有する証券口座全体で考えたときの利益が減少するため、税負担を軽減できる可能性があります。

    たとえば、証券口座Aで50万円の利益、証券口座Bで20万円の損失が発生していたとしましょう。証券口座AとBは、どちらも特定口座源泉徴収ありです。

    確定申告をしない場合、証券口座Aで発生した50万円の利益に課せられる税金を、証券会社が代わりに納めてくれています。確定申告で損益通算をすると、全体の利益は50万円−20万円=30万円となり、差額の20万円分だけ税負担を減らせるのです。

    確定申告の期間は、例年2月16日〜3月15日の1か月です損失が発生している口座があるにもかかわらず損益通算をしないと、税金を余分に支払うことになるため忘れずに確定申告をしましょう。

    ※土日によって前後します。

    まとめ

    証券会社によって、取り扱っている商品や利用できるツールなどが異なります。証券口座を複数開設することで、幅広い商品に投資できるだけでなく、各社の強みを活かした使い分けも可能となります。

    一方で、証券口座の保有数が増えれば増えるほど、IDやパスワードの管理に手間がかかったり、保有資産の把握が面倒になったりします。そのため、自分自身に合った数社の証券口座を保有するのがおすすめです。

    まずは、投資したい商品や売買時の手数料などを比較し、いくつかの証券会社で口座を開設します。その後、実際の取引でツールを利用したり注文をしたりして、自分に合った証券会社を絞り込むと良いでしょう。

    ※この記事は2022年8月13日に更新した記事です。 金利は日々変動しますので、ご利用の際は各銀行公式ホームページの最新情報を確認してください。

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