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名医の羅針盤

世界の腰痛治療の底上げを目指して 〜伊藤全哉先生〜

痛みを一秒でも早く取り除きたい─ 腰痛治療の最高峰に挑み続ける探究者

誰しも腰の痛みに悩まされた経験があるはずだ。それもそのはず、日本国内に限っても約3,000万人が悩みを抱えている「腰痛」は、厚生労働省発表の資料によると自覚症状の多さでは男性トップ、女性でも2位を占める“国民病”なのだ。 整形外科医として脊椎由来の腰痛に20年間向き合い続け、2017年に脊椎外科専門の「あいちせぼね病院」を立ち上げた伊藤全哉先生。患者への負担が少ない低侵襲手術(※1)の普及を目指し、その草分け的存在としてこれまで多くのメディアにも取り上げられてきた。 年間2,000件以上の腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、脊椎圧迫骨折の低侵襲手術を手がける一方で、海外の医療関係者との交流や新しい医療機器の開発など、さまざまな角度から腰痛治療の進化に取り組んできた。 低侵襲腰痛治療の第一人者といえる伊藤先生に日本の腰痛治療の現在地と、ボトルネックとなっている問題点、今後の腰痛治療の展望について話を伺った。

国民病かつその多くが原因不明である病、腰痛

腰痛はとにかく診断が難しいことで知られている。患者ははっきりと腰の痛みを訴えるが、どれだけ要因を探しても見つからない。腰痛は検査をしても約8割が原因不明であるともいわれている。20年以上腰痛患者を診てきた伊藤医師ですら、今でもそんなケースに日常的に出会うという。

普段の姿勢や体の使い方から、睡眠などの生活習慣、体型そのものなどを含め、さまざまな要因が複雑に重なり合うことで腰痛は発生します。肉体的なものではなく、心理的要因により発症する腰痛もあり、他の疾病との組み合わせなどまで考慮すると、文字通り要因はごまんとあるといえます。私自身の経験からお話しすれば、腰痛には同じ症状を持つ患者さんが2人といません。

しかし、エックス線撮影やCT(コンピューター断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像診断)など検査技術の進化に伴い、近年では要因が特定できる腰痛も増えてきたと伊藤先生は語る。

近年の医療機器の進歩は目を見張るものがあります。例えば、神経線維をカラーで色分けて描出するMRIトラクトグラフィーという新しい検査手法があります。これにより従来の白黒画像に比べ、患者さんの神経の状態をより微細に見ることができるようになりました。こうした画像診断機器の進化は腰痛治療の現場で大いに役立っているのですが、機器さえあればどんな医師でも診断できるというわけではありません。画像による診断には、経験と熟練を要するものです。私は20年以上にわたって患者さんを診てきた中で、相当な数の検査画像を見てきました。この積み重ねがあって初めて、画像上のわずかな差異、異常に気づけるようになります。さらに、画像だけではなく患者さんが訴える症状と照らし合わせていくことで、診断画像から要因の特定につながっていくのです。

これらの検査方法では特定が難しい心因性の腰痛もある。こうした患者に対しては「痛みの再処理療法(PRT)」などの新たな試みが効果を発揮している。

例えば、最初に腰の痛みを感じたときに「悪い病気ではないか」とマイナスの先入観を持ってしまう患者さんがいます。これはその考えから離れることができず、症状がなかなか改善されないケースに有効な心理療法で、カウンセリングにより認知を正すことで痛みを和らげるというアプローチの治療法です。

後れをとってしまった日本の腰痛治療の現場

一般的に「日本の医療レベルは高い」と捉えられがちだ。しかし、長年にわたって腰痛治療に携わる中で、いくつかの問題点が浮き彫りになってきたという。そのひとつが新しい治療法が標準治療になるまでの道のりの長さだ。

正直、腰痛手術に関して日本は遅れています。先進医療はたとえ優れていても、大規模な臨床試験を基にエビデンスを蓄積し、長い時間をかけてようやく標準治療として認められます。私の実感ですと、経皮的内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術(PELD ※2)をはじめとした脊椎の低侵襲手術については、腰痛治療の進んでいる韓国と比較すると数年は遅れているという印象です。現在、腰痛治療の分野で先進医療とされている治療法が標準治療になるころには、もう次の新しい治療法が出てきている。後手後手に回ってしまっているのが日本の腰痛治療の現状です。しかし、新しく優れた治療法が標準治療と認められるためには、誰かが先陣を切らなければなりません。ならば、私たちがその先頭に立って腰痛治療の未来を拓いていこうという想いを持って治療にあたっています。

その一方で、診断に関してはむしろ日本は諸外国に比べてとても進んでいるという。

病院に設置されているMRIやCTの台数は、一国民あたりの割合でいえば世界的に見てもトップクラスですね。アジア諸国では、やはりそこまで高度な画像診断機器は普及していないので、診断について日本は恵まれた環境だといえます。ただ、こちらも日本の医療制度の都合により多くの時間がかかってしまうという問題をはらんでいます。 腰痛はエックス線撮影、CT、MRIを使って診断しますが、現在の日本の医療保険制度では、この3つを同日に使うことができません。まずはエックス線撮影をし、それで見つからなければCTやMRIで検査するという手順を踏まなければなりません。これに1〜2カ月程度かかるのですが、その間、患者さんは激痛を抱えたまま我慢するしかありません。そこで私たちは、自由診療にはなるものの来院いただいたその日のうちに診断がつく脊椎ドックを始めました。診断を早くつけることで、手術を含めても1週間〜2週間で治療が終わらせることができます。

「早さ」がもたらす患者へのメリット

あいちせぼね病院で行われている治療の40%を占めるのが、腰椎椎間板ヘルニアのPELD手術だ。従来式の手術では50mm程度の皮膚切開が必要で、さらに筋肉を剝し骨も削る必要があった。そのため手術には全身麻酔が必要で、2週間程度の入院を余儀なくされた。その点、PELD手術であれば1泊2日の入院で翌日には自宅に戻れる。術後の痛みも少なく回復も早い。

とにかく患者さんの苦痛を1秒でも早く取り去りたい。当院が「抜苦与楽(ばっくよらく:苦しみを取り除き安楽を与えること)」を掲げ、低侵襲でスピード第一の治療方針を掲げているのはそういう想いからです。

PELD手術を始めておよそ5年。この手術に出会うまでの十数年間は、従来型の大きく切開する手術で治療にあたってきた。低侵襲手術とその両方を経験した今、それぞれのメリット・デメリットを考慮しても「傷口は小さい方が良いに決まっている」と語る。

高齢の患者さんであれば、2週間も入院すると筋力が一気に低下します。たとえ治療によって腰痛が改善されても、全身の動きが悪くなりADL(日常生活動作 ※3)に悪影響が出て再発率(※4)も高まりますので、短期間で治療できる低侵襲手術にはメリットしかありません。

伊藤先生はPELD手術のほかにも、患者の状況や症状に応じてさまざまな低侵襲手術を使い分けている。仙骨内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術(SELD)や片側進入双内視鏡下除圧術(UBE)なども、伊藤先生が海外の先進国から輸入した手術だ。

3mmという小切開でヘルニアの除去が可能なSELDは、私が2016年に国内へ導入したものです。現在も国内で手がけているのは当院だけだと認識しています。 UBEも当院が先駆けて導入したもので、こちらは脊柱管狭窄症の治療に使われています。一般的な内視鏡下手術は1本の操作管で行いますが、UBEは2本の操作管を使います。1本の操作管で行う手術よりも難易度が下がり、医師としては取り組みやすい治療法なのではないでしょうか。また、合併症が起きにくいというメリットもあるため、腰痛治療の技術が進んでいる韓国ではUBEが主流となりつつあります。

新しい手術の導入には、医師の技術レベル向上が不可欠だ。技術の向上に近道はなく、多くの手術を経験するほかはない。2020年のあいちせぼね病院の手術件数は2130件。これは8年連続で日本トップクラスの数字だ。その中でも、伊藤先生は最も多くの手術を執刀されている。

背骨の手術だけで年間約2,000件ですから、腰痛はやはり困っている患者さんが多いんです。先ほどお話しした手術以外にもさまざまな方法を取り入れていますが、それでもすべての患者さん、すべての症状に対応できるレベルには達していません。前例のない症状にぶつかるたびに背骨の専門医たちとカンファレンスを重ねながら、新しい治療法を検討し、引き出しを増やし続けています。

“抜苦与楽”を実現するために、医療機器のレベルアップを推進

ここ数年でPELD手術は目覚ましい進化を遂げている。伊藤先生自身も、その先頭に立ってさらなる改良を重ねるべく、さまざまな取り組みを行っている。

日々手術をする中で、次から次へと「もっとここをこうできたらいいのに」という改善ポイントが見つかります。そのアイデアを医療機器メーカーに持ち込み、打ち合わせや試作を繰り返しながら新しい器具や装置の設計開発に取り組んでいます。私が開発に携わってきた器具は40から50種類くらいはあると思います。その中には国に認められたものが数十種類あり、その点でも腰痛治療の発展に貢献しています。

こうした取り組みにより、より使いやすく安全で、痒いところに手が届く道具を次々と生み出してきた。これに伴い自身が標榜する「抜苦与楽」の実現に一歩ずつ近づいている。

現代医療の進化は医療機器の進化と不可分ですので、私たち医師は医療機器を進化させる責任を負っているともいえます。例えば脊柱管狭窄症の内視鏡下手術ですと、以前は18mmの切開が必要でした。それを私は医療機器を進化させることで切開創を10mmでできるようにし、現在は7.5mmでできるまでになっています。しかし進化に終わりはありません。今も「もっと小さな傷でできないか」「もっといい方法はないか」と常に模索しています。

世界最高水準の腰痛治療情報発信源としての役目を担う

伊藤先生は積極的に海外の腰痛治療を取り入れ、そしてその技術を世界に広めるという活動を行っている。毎年3月には、世界各国からあいちせぼね病院に内視鏡医師が集まり「MISサミット」と銘打った学会を開催される。

MISはMinimum Invasive Surgeryの略、つまり「低侵襲手術サミット」です。もう十数年連続で開催しています。毎年内視鏡の医師を約100人招き、論文発表を行ったり、国内外のさまざまなメーカーが医療機器の展示を行ったり、新しい発見や交流が満載の学会です。 今は患者さんがさまざまな通信端末で積極的に情報を取得できるので、患者さんにとって治療の選択肢の幅は各段に増えたといえます。そして、やはり患者さんはなるべく体への負担が少ない治療を望まれます。「この病院は内視鏡下手術できないんですか?」と聞かれて、「やれません」と答えるのはやはり医師として辛いですからね。より良い医療を求める患者さんの声に応えるために、内視鏡下手術を習得したいという医師は年々増えています。

国内外問わず、内視鏡下手術が標準的な治療になるためには、興味を持ち技術の習得に取り組む医師が増えることが何より重要だ。伊藤先生もそこを重要視している。

私には「抜苦与楽」とともに大切にしている言葉があって、それが「独歩啓蒙(どっぽけいもう)」というものです。聞いたことありますか?ないですよね。私がつくった造語ですから(笑)。自分でいろいろなことを学び、それを広めるという意味合いの言葉で、学生時代からモットーとしてきました。今の自分を高めるだけでなく、それを世の中に広め医学の発展に寄与していく。それが私の活動の根にあるコンセプトです。

理解が深まる医療用語解説

※1 低侵襲手術

手術部位の切る範囲を小さくし、出血量の減少や手術時間短縮を図り、患者への負担を少なくする手術のこと。主に内視鏡下手術を指すことが多い。

※2 経皮的内視鏡下ヘルニア摘出術(PELD)

わずか数ミリという細さの操作管に内視鏡と小鉗子を通しヘルニアを摘出する手術。切開創が小さいため局所麻酔での手術が可能で、翌日には退院することができる。

※3 日常生活動作(ADL)

超高齢化社会を迎えた日本では、いかに介護予防を図るかが問われている。人が生きていくために必要な生活機能を推し量る目安として、起居動作、移乗、移動、食事、更衣、排泄、入浴、整容をADLとして定めその維持・向上を目指している。

※4 腰椎椎間板ヘルニアの再発予防

腰骨の動かし方を誤るなど、術後の過ごし方次第では再発率が高まる。そこで伊藤医師は腹筋・背筋の強化や効果的なストレッチなど、再発予防の指導も行っている。

プロフィール

医療法人 全医会 あいちせぼね病院 院長 伊藤 全哉(いとうぜんや) 医学部在籍時に、とにかくたくさんの人を救いたいと考え、選んだのが整形外科医への道。 「日本で一番多い病気ってなんだろうと調べたら腰痛でした。だから整形外科の中でも背骨専門に進んだということですね」 1998年3月 名古屋大学医学部 卒業 1998年4月 名古屋第一赤十字病院 整形外科 2003年4月 国立長寿医療研究センター 整形外科 2004年10月 愛知厚生連 渥美病院 整形外科 2005年4月 名古屋大学医学部付属病院 整形外科 2009年7月 Emory spine center (GA,Atlanta) 2010年10月 豊橋市民病院 整形外科 副部長 2011年5月 名古屋大学医学部付属病院 整形外科 助教 2016年4月 全医会 伊藤整形・内科あいち腰痛オペクリニック 副院長 2017年4月 あいちせぼね病院 院長

取材先

今回はこちらを訪れました! 医療法人 全医会 あいちせぼね病院 〒484-0066 愛知県犬山市五郎丸上池31-1 TEL 0568-20-9100 https://www.itoortho.jp/

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