病気やケガ、事故など万が一の備えができる保険。女性は男性に比べると出産や育児などライフイベントが多く、より保険への加入を考える機会が多いのではないでしょうか。また、女性特有の病気への備えも必要で保険は慎重に選びたいもの。本記事では、女性におすすめの生命保険と選び方をわかりやすく解説します。

女性の生命保険加入率はどのくらい?

まず、女性の生命保険加入率を見ていきます。生命保険文化センターの調査によると、男性の加入率が82.0%なのに対し、女性の加入率は84.5%と、女性の方がやや多い結果となりました。

男性82.0%
女性84.5%

年代別の加入率(女性のみ)

続いて年代別に見ていくと、20歳代の加入率が62.4%、30歳代が84.1%、40歳代が90.1%、50歳代が89.4%、60歳代が86.0%と、40歳代の加入率がもっとも高い結果となっています。

20歳代62.4%
30歳代84.1%
40歳代90.1%
50歳代89.4%
60歳代86.0%

年収別の加入率(女性のみ)

世帯年収別の加入率で見てみると、300万円未満が70.6%、300〜500万円未満が84.8%、500〜700万未満が93.8%という結果になっています。

300万円未満70.6%
300〜500万円未満84.8%
500〜700万未満93.8%
700〜1,000万円未満92.6%
1,000万円以上93.5%

本人年収別だと100万円未満が83.8%、100〜300万円未満が85.3%、300〜500万円未満が87.1%、500万円以上が93.1%と、世帯年収、本人年収ともに保有資産が増えるのと比例して加入率も高くなっています。

100万円未満83.8%
100〜300万円未満が85.3%
300〜500万円未満87.1%
500万円以上93.1%

女性の払込保険料の相場はいくら?

続いて女性の払込保険料の相場を見ていきます。女性の年間払込料平均は16.8万円で12万円未満が40.2%、12〜24万円未満が33.1%、24〜36万円未満が11.7%となっています。

全体平均16.8%
12万円未満40.2%
12〜24万円未満33.1%
24〜36万円未満11.7%
36〜48万円未満4.3%
48〜60万円未満2.4%

年齢別の払込保険料平均

年齢別では、20歳代は11.4万円、30歳代は15.1万円、40歳代は15.6万円、50歳代は20.6万円、60歳代は17.4万円と、50歳が最も多くなっています。

20歳代11.4万円
30歳代15.1万円
40歳代15.6万円
50歳代20.6万円
60歳代17.4万円

年収別の払込保険料平均

本人年収別では、100万円未満が14.5万円、100〜300万円未満が16.6万円、300〜500万円未満が22.3万円、500万円以上が29.0万円となっており、こちらも加入率と同様に、年収に比例して払込保険料も高くなっています。

100万円未満14.5万円
100〜300万円未満16.6万円
300〜500万円未満22.3万円
500万円以上29.0万円

女性が備えたいリスクとは?

女性は、がんや糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などの病気にかかるリスクとともに、子宮筋腫、子宮内膜症、月経前症候群(PMS/PMDD)など女性特有の病気にも気をつけなければいけません。

女性特有の病気

厚生労働省の調査によれば、日本の死因TOPは悪性新生物(がん)で、死亡数は376,392人(男性が220,315人、女性が156,077人)で全体の27.3%を占めています。続いて心疾患(高血圧性を除く)、老衰、脳血管疾患という順番になっています。

また、国立がん研究センターの調査によれば、女性で死亡数が多い部位は1位が大腸で、乳房は5位にランクインしています。

また女性は、がんだけでなく子宮筋腫や子宮内膜症など女性特有の病気にかかるリスクにも注意を払う必要があります。

子宮筋腫になる確率は45歳までに70%近く

医学事典「MSDマニュアル」によれば、子宮筋腫は女性の生殖器に発生する良性腫瘍で、45歳までに少なくとも1つの子宮筋腫が発生する割合は約70%といわれています。ただし、がんになるケースは極めてまれです。

子宮内膜症は不妊の原因になることも

子宮内膜症とは、子宮内膜またはそれに類似する組織が、本来存在しない子宮の内側以外で発生または増殖する症状を言います。月経の回数を重ねるごとに痛みの強さが増していき、ひどくなると腰痛や下腹部痛、排便痛などの痛みや、不妊の原因になることもあります。

妊娠、出産に伴うリスク

妊娠や出産期に伴うリスクとして、子宮外妊娠(異所性妊娠)や帝王切開、妊娠高血圧症候群などがあります。特に、妊娠高血圧症候群は20人に1人の割合で起こるといわれており、決して珍しい病気ではありません。妊娠を考えている方は注意が必要です。

妊娠高血圧症候群は糖尿病や高血圧の持病を持っている方や肥満の方に多く見られ、血圧上昇やむくみ、けいれん、重篤な場合だと肺水腫、肝機能障害を引き起こすこともあります。また、胎児にも発育不全や機能不全などの症状を引き起こすことや、最悪の場合は死に至るケースもあります。

女性保険とは?

女性保険は医療保険の一種で、女性がかかるリスクの高い病気や女性特有の病気にたいする保障が手厚い保険商品です。

女性保険と女性疾病特約の違い

女性疾病特約は医療保険の特約です。女性特有の病気で入院や手術したときに入院給付金や手術給付金が給付される特約です。すでに医療保険に加入している方は、女性疾病特約を追加することで、通常の病気に加えて手厚くカバーできます。

女性保険のメリット

一般的な医療保険やがん保険を選ぶのではなく、あえて女性保険に加入するメリットはどのようなものがあるのでしょうか?

保障範囲が広い

がんは部位を問わず、女性特有の病気と同様に保障されるケースが多いです。また、正常分娩は公的医療保険や民間の医療保険では保険適用外で、高額療養費制度も適用されませんが、最近の医療保険では、自然分娩に伴う吸引分娩などの手術や入院の保障も対象にしています(公的医療保険が適用になる場合)。ただし妊娠前の加入が必須条件となります。

妊娠、出産時のリスクにも備えられる

女性保険や女性疾病特約では、羊水塞栓症(ようすいそくせんしょう)や臍帯下垂(さいたいかすい)・臍帯脱出(さいたいだっしゅつ)など妊娠や出産に関わる合併症、それに伴う帝王切開や流産手術などのリスクにも備えられます。ただし、前述したように妊娠が発覚してから保険に加入をすると特定疾病、特定部位不担保などの条件が付くことがあります。

また、帝王切開で一人目の子供を出産後、二人目の子供を出産する場合も一定の条件が付くことが多いですが、帝王切開から5年以上が経過している場合は、通常と同じく保険が適用されます。

女性保険に加入した理由は?

女性保険は、女性特有の病気や妊娠や出産に伴う合併症などを手厚く保障してくれる生命保険ですが、女性保険に加入している方は、どのような理由で加入を決めたのでしょうか。弊社の独自調査では、「出産時のリスクを考慮したかったから」「女性特有の病気に備えったから」などの理由や、なかには「会社の先輩や親族、FPにすすめられた」といった理由もありました。

女性保険の選び方のポイント

最後に、女性保険の選び方のポイントを解説します。ポイントは「保障期間」「解約返戻金の有無」「払込期間」「保障内容」「加入条件」「単体型orセット型」の6つです。

保障期間

一生涯、保障を受けたいという方は終身型がおすすめです。月々の保険料も一定で、家計管理もしやすいです。一定期間だけ保障を受けたい方は定期型を選びましょう。ただし、契約更新の際に保険料が値上がりするため、加入前に契約年数を決めておきましょう。

解約返戻金の有無

女性保険の多くは掛け捨て型です。女性保険を貯蓄型にするか、それとも掛け捨て型にするかは、こちらの記事を参考にしてください。

関連記事:女性保険は貯蓄型?掛け捨て型?ライフステージごとの保険の選び方も解説|COMPASS TIMES|保険コンパス

払込期間

女性保険の払込期間には、大きく「短期払い」と「終身払い」の2種類があります。短期払いは、10年間、20年間のような「年満了型」と、55歳まで、60歳まで、65歳までのような「歳満了型」があります。経済的に余裕がある方は短期払いを選択しましょう。払込より先の保険料まで払うので払込保険料は高くなりますが、長生きをされる方には払込総保険料でみると安くなります。

保障内容

多くの女性保険では、一般的な医療保険でも保障内容に含まれる入院時の日額給付金に加え、女性特有の病気で入院した際は追加で日額保障が上乗せされます。

また、女性特有の病気で手術をした場合、手術給付金がもらえる保険商品もあります。特にチェックしておきたいのは、「がん診断一時金」と「帝王切開」の2つです。

がん診断一時金とは、診断が確定された際に受け取れるお金を指します。使いみちは特に制限されておらず、自由に使うことができます。がん診断一時金は、保険商品によって受け取れる回数や受取金額が異なります。最近では、悪性新生物に限らず上皮内がんでも同額支払われる商品も増えてきました。診断一時金の条件も2回目以降は入院が条件となっている保険会社が多いです。

次に帝王切開です。出産方法としては自然分娩が思い浮かびますが、厚生労働省の調査によれば、およそ4人に1人が帝王切開で出産していることが明らかになっています。

参考:平成29年(2017)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況

※統計データが重くてひらけず

自然分娩と異なり、帝王切開は健康保険や民間医療保険ともに保険適用されます。保険商品によっては、告知項目に帝王切開が含まれていることがあります。1人目を帝王切開で出産した場合は、

特定部位不担保となり、2人目で帝王切開をしても給付金支払い対象外になるため注意しましょう。

加入条件

加入条件に特定部位不担保があるかチェックをしましょう。妊娠中だと、子宮や卵巣などの部分が保障対象外となります。過去5年以内に帝王切開、切迫流産、子宮外妊娠などを経験した方も特定部位不担保に該当することがあります。期間は1年〜5年になるケースが多いです。また、不妊治療をされている方は病気治療中の扱いになり、保険に加入できない引受不可とされる場合があります。

単体型またはセット型で選ぶ

まだ、医療保険に加入していない方は、通常の医療保険と女性疾病特約などがセットになった女性保険をおすすめします。すでに医療保険に加入されている方は、女性特有の病気に特化した単体型の女性保険に加入すると良いでしょう。

まとめ

女性特有の病気や妊娠や出産に伴う合併症など、手厚く保障をしてくれる女性保険ですが、一般の医療保険と比べると少し値段は高くなります。すでに加入している医療保険で十分なのか、どこまで保障を求めるのか、しっかりと検討して加入を考えてみてください。

保険コンパスなら、何度でも相談無料です

監修者プロフィール

宮里 恵
(M・Mプランニング)

保育士、営業事務の仕事を経てファイナンシャルプランナーへ転身。
それから13年間、独身・子育て世代・定年後と、幅広い層から相談をいただいています。特に、主婦FPとして「等身大の目線でのアドバイス」が好評です。
個別相談を主に、マネーセミナーも定期的に行っている他、お金の専門家としてテレビ取材なども受けています。人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。

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