自動車運転中に起こる事故での損害を補償してもらえる「自動車保険」。 自動車保険に加入するときは、 さまざまな項目をチェックしたうえで適切なプランを選ばなければならないため、 「どうすれば適切なプランに設定できるか分からない」と悩む人も多いのではないでしょうか。

自動車保険のプランを選ぶ際に迷いがちな項目のひとつに「使用目的の設定」があります。 自動車を使用する用途は人それぞれですが、 設定する使用目的によって保険料や補償の対象が変わる場合があるため、 慎重に決めなければなりません。

今回は、自動車保険加入時に選ぶ使用目的の種類や使用用途別の選び方について、 ファイナンシャルプランナーのアドバイスを参考に説明します。

自動車保険の使用目的の設定で悩んだことがありますか?

  • ■ 調査概要
  • 調査対象者:自動車保険に加入している人
  • 有効回答数:200人
  • 調査期間:2022年8月10日~8月17日
  • 調査方法:編集部の独自調査

まずは、自動車保険で設定する「使用目的」を選ぶ際に、 どれくらいの人が悩んでいるのか見てみましょう。
編集部の独自調査では、 自動車保険に加入している人の57%が「自動車保険の使用目的の設定で悩んだことがある」と答えており、 自動車保険に加入している半数以上の人は使用目的の設定で悩んでしまうようです。

一方、残りの43%の人は「自動車保険使用目的の設定で悩まなかった」と答えています。 事前に使用目的がはっきりしている人ほど悩みにくいと考えられますが、 中には使用目的ごとの特徴や選び方をよく分からないまま設定している人もいるかもしれません。

そもそも自動車保険にある使用目的とは?

そもそも自動車保険の「使用目的」とは、 「契約車両をどのような目的で使用するか」を決める項目です。 具体的にどのような項目が設定できるかは保険会社によって違いがあるものの、 一般的に次の3種類に分けられています。

一般的な自動車保険の使用目的

・業務使用
・通勤、通学用

・日常、レジャー用

各項目がどのような使用方法に該当するかは後述しますが、 自動車の使用目的ごとに運転する回数や走行距離などが変わります。

また、使用目的によって事故に遭うリスクも変わるため、保険料にも影響を与えます。

自動車保険加入時に選ぶ使用目的の種類

自動車保険の使用目的を正しく設定するには、各項目にどのような特徴があるか知っておく必要があります。

ここでは、自動車保険の使用目的の違いや基準をみていきましょう。なお、実際の判断基準については各損害保険会社にお問い合わせください。

業務使用

保険会社によって基準は異なりますが、 1年間を通じて1ヵ月あたり15日以上や週5日以上、自動車を業務に使用するのであれば、使用目的には「業務使用」となるのが一般的です。

通勤・通学用

自動車を業務用として使っておらず、 通勤や通学のために使用する場合は、「通勤・通学用」を選びます。

具体的には「月15日以上通勤や通学で自動車を使っている」「週5日以上通勤や通学で自動車を使っている」 といった場合は、使用目的を「通勤・通学」にすると良いでしょう。

日常・レジャー用

使用目的が業務使用にも通勤・通学用にも該当しない場合、 「日常・レジャー用」を選びます。 具体的な使用用途として、ショッピングセンターやスーパーへの買い物や外食や旅行などです。

また、「天気の悪い日だけ家族の通勤や通学の送迎のために自動車を運転する」という場合、その頻度が月15日未満や週5日未満など、保険会社が設定する頻度に満たないのであれば、 「日常・レジャー用」に該当する可能性があります。

自動車の使用目的と保険料の関係

先述したように、自動車の使用目的ごとに運転する頻度や距離、 時間が異なるため、保険会社に支払う保険料が変わります。

運転する頻度や距離、時間が増えるほど事故に遭うリスクが高まるため、 自動車の使用頻度が多い「業務使用」では保険料がもっとも高く、次いで「通勤・通学用」、「日常・レジャー用」の順に保険料が高くなります。

自動車の使用目的によって自動車保険料に年間で数千円程度の差が出ることもあります。 自動車を長期間にわたって所有するのであれば、どの使用目的を選ぶかによって保険料の総支払額に大きな差が生じるでしょう。

自動車の使用目的が変わったときの手続き方法

設定する自動車の使用目的によって年間保険料が変わるため、使用目的が変わったときには、 契約内容を変更することが大切です。

自動車保険は、契約の更新を迎えていなくても、保険期間の途中で契約内容を変更できるので、 なるべく早めに使用用途が変わったことを保険会社に連絡しましょう。

変更の内容によっては、保険料の返金や追加の支払いが発生するケースがあります。

申告した使用目的と実際の使用方法が違うとどうなる?

契約内容と実際の使用用途が異なると、 万が一事故が起こったときに補償を受けられなかったり、 契約を解除されたりする可能性があります。

また、保険料を抑えようと虚偽の申告をしたときも同様であるため、 リスクにしっかり備えるためにも使用目的を正しく申告することが大切です。

一方で、通勤用として使っている自動車を業務用として使ったからといって、 すぐに使用目的が「業務使用」になるわけではありません。 どれくらい業務用として使えば業務使用に該当するかは保険会社ごとにルールが異なるため、 あらかじめ確認しておきましょう。

【用途別】自動車保険における使用目的の選び方

明らかに自動車の使用用途が決まっていればすぐに使用目的を決められますが、 複数の用途で自動車を私用する場合は、判断が難しいです。ここでは、複数の用途で自動車を運転するケースにおける使用目的の考え方をみていきましょう。

なお、 複数の用途で自動車を使う場合の使用目的は、保険会社ごとに判断が分かれるので、 事前に確認しておきましょう。

主に通勤用だがたまに仕事で自動車を使う場合

「毎日通勤で自動車を使っているが、 月に10日程度は業務用として運転する」という場合、 業務用として自動車を使う頻度がそれなりにあるものの「1ヵ月あたり15日以上」には満たないため、 使用目的は「通勤・通学用」になります。

ただし、月に15日以上通勤として自動車を使っていても、 それが1年間で1ヵ月程度であれば、「日常・レジャー用」に該当することがあります。

主婦が子どもの通学や夫の通勤を自動車で送迎する場合

例えば、自動車の主な使用者が妻で、子供の通学や夫の通勤時の送迎を月に15日以上おこなっている場合、 使用目的は「通勤・通学用」になります。ショッピングセンターやスーパーに買い物にいくときに自動車を使っていたとしても、 通勤や通学が自動車の主な使用目的であると考えられます。

しかし、「雨が降った日にだけ通勤・通学の送迎に使っており、 その他は近所のスーパーに行くときや休日のレジャーでしか使わない」という使い方であれば、 「日常・レジャー用」に該当する場合があります。

自営業で自動車を使っている場合

自営業で自動車を使っている場合、プライベートでの使用とは区別しにくくなります。 例えば、「子供を学校に送ってからスーパーマーケットで買い物をして、 その後取引先に自動車で移動する」といった使い方をしていると、 どの使用目的を選べば良いか悩むかもしれません。

しかし、このケースでは習慣的に業務で自動車を運転していると判断されるため、 使用目的は「業務使用」に該当する可能性があります。

業務使用を選ぶと保険料が高くなりますが、「通勤・通学用」や「日常・レジャー用」を選ぶと、 事故を起こしたときに補償してもらえなくなったり契約を解除されたりするかもしれません。

「業務使用はするものの、通学用としての頻度が高い」と考えるのであれば、 保険会社の担当者と相談したうえで使用目的を変更しましょう。

パートやアルバイトの通勤で週2日自動車を使う場合

通勤で自動車を使っていても、それが週2日程度のパートやアルバイトのときに限定されるのであれば、 「日常・レジャー用」に該当すると考えられます。通勤として自動車を使う日数が月平均15日を下回っているからです。

もちろん、子供が自立してパートやアルバイトとして勤務する日数が増えれば、 「通勤・通学用」に使用目的を変更しなければならない場合があります。

保険会社ごとに基準は異なりますが、 月平均15日や週5日を目安として考えると、適切な使用目的を選べるでしょう。

冬季に限って通勤や業務で自動車を使う場合

主に近所のスーパーに買い物に行くときに自動車を利用する人が、 積雪の多い日だけに通勤や業務に使用する場合、「日常・レジャー用」に該当することがあります。

しかし、「12~2月は毎日通勤や業務で自動車を運転する」といったケースでは、 年間で考えると月平均15日未満の自動車使用であっても、 保険会社によっては「業務使用」と見なされる場合があります。

季節によって自動車の使用頻度が大きく変わる場合は、 事前に保険会社の担当者に相談しておくとよいでしょう。

まとめ

複数の用途で自動車を使用するほど、使用目的の選び方が難しくなりやすいですが、 自分自身で判断すると、事故を起こしたときに十分な補償が受けられなくなるかもしれません。

適切な使用目的を選択するためにも、判断に迷う場合は保険会社の担当者に相談することをおすすめします。

また、必要な備えを用意して自動車を使用し続けるには、 使用目的が変わった時点で保険会社に連絡をして変更手続きが必要になることがある点も覚えておきましょう。

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監修者プロフィール

宮里 恵
(M・Mプランニング)

保育士、営業事務の仕事を経てファイナンシャルプランナーへ転身。
それから13年間、独身・子育て世代・定年後と、幅広い層から相談をいただいています。特に、主婦FPとして「等身大の目線でのアドバイス」が好評です。
個別相談を主に、マネーセミナーも定期的に行っている他、お金の専門家としてテレビ取材なども受けています。人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。

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