地震保険料を安く抑える方法は?割引制度などを解説

- ■ 地震保険とは?
- – 地震保険は火災保険とセットで加入する
- – 地震保険の補償内容
- – 地震保険には入ったほうがよいのか
- ■ 地震保険料が決まる仕組み
- – 建物の構造
- – 建物の所在地
- – 割引率
- ■ 地震保険料を安くする方法
- – 地震保険の割引制度を利用する
- ・新築は基本的に10%割引適用
- ・古い中古物件は耐震改修すれば10%割引
- ・認定長期優良住宅は30%割引
- – 長期で契約する
- – 構造区分を選ぶ
- ■ 地震保険の選び方
- – 火災保険の補償内容で選ぶ
- – 住宅のタイプで選ぶ
- – 割引制度で選ぶ
- ■ まとめ
地震保険とは?
地震保険は、地震や津波、噴火といった原因で起こった火災・損壊などによって
住宅や家財が損害を受けたときに、経済的な損失をカバーできる保険です。
地震大国である日本は、地震によって大きな損害が生じるリスクが高いため、
加入する重要性が高い保険のひとつだといえます。
また、地震保険には火災保険だけではカバーしきれない、
建物や家財の損害を補ってくれるというメリットもあります。
火災保険に加入していたとしても、地震によって火災が生じた場合は補償を受けられません。
地震保険に加入しておけば、火災保険で補償してもらえない部分までしっかり備えられるようになります。
地震保険は火災保険とセットで加入する
地震による損害に備えられる地震保険ですが、地震保険は単独で加入することはできません。
火災保険は単独で加入できますが、地震保険に入りたい場合は火災保険への加入が前提となります。
また、火災保険のみに加入していたとしても「地震火災費用保険金」を付けることで地震による損害に備えることは可能です。
しかし、保険金の支払いに条件が設けられていたり、補償金額が不足したりするケースがあるので、
しっかり地震に備えたいのであれば地震保険への加入がおすすめです。
地震保険の補償内容
地震に対して適切な備えをするためには、地震保険の補償内容について知っておくことも大切です。
地震保険の補償対象になるのは、個人が居住するための建物や家財となっています。
そのため工場や店舗のように事業として使う建物や、事務所として使用する物件などは補償してもらえません。
個人が居住するための建物であっても、30万円を超える貴金属や骨董品、
有価証券や自動車といったものは補償の対象外になります。
必ずしもすべての家財が補償対象になるわけではないことも知っておきましょう。
また、地震保険には、損害の程度によって支払われる保険金額が変わるという特徴があります。
地震によって損害が発生した場合、保険会社によって損壊の程度を次の4つに分類されます。
- ・全損
- ・大半損
- ・小半損
- ・一部損
損壊の程度によって支払われる保険金の限度額が変わるので、
地震保険に加入する際はそれぞれどれくらいの補償限度額になっているか確認しておくことも大切です。
地震保険には入ったほうがよいのか
すでに述べたように、日本は地震が発生しやすい国でもあります。
そのため、人によっては住宅を購入してまもなく地震に遭い、
建物に住めなくなったにも関わらずローンは支払い続けなければならないという状態になることもあるでしょう。
ローンの支払いだけでなく新たな居住先も確保しなければならないことも考えると、
損害額はさらに増えるかもしれません。
このように、地震による損害に備えるために重要な地震保険ですが、
一軒家やマンションを購入したら加入しておいたほうがよいのでしょうか。
2021年1月におこなった編集部の独自調査によると、一軒家またはマンションを購入したことがある121人のうち、
現在地震保険に加入している人の割合は76.9%となっています。
一軒家やマンションを購入する人の8割近い人が地震保険に加入している一方で、
残りの23.1%の人は地震保険に加入していないようです。
地震に遭ったときに自分自身の預貯金で損害額をカバーできれば、
地震保険に加入する必要性は低いでしょう。
しかし地震による損害額は、預貯金で補いきれない場合もあります。
もちろん、地震保険の補償だけですべて元通りに戻すのは難しいかもしれません。
しかし、保険金はいざというとき生活再建のための一時金として活用できるので、
預貯金の額やローンの残債、収入といったさまざまな観点から地震保険の必要性を考えましょう。
関連記事:地震保険に加入する必要性とは?支払い条件や補償内容について解説
地震保険料が決まる仕組み
ここまでは、地震保険の補償内容や加入の必要性について説明しました。
地震保険で備えを充実させることは大切ですが、それと同時に保険料についても考えておかなければなりません。
まずは地震保険料が決まる仕組みを知っておきましょう。
地震保険料が決まる仕組みには、次の3つが含まれています。
以下では、これらが地震保険料に与える影響について説明します。
建物の構造
地震のゆれによる損壊や火災といった損害の程度は、建物の構造によって変わります。
たとえば、木造住宅と鉄筋コンクリート住宅で比較すると、
一般的に鉄筋コンクリートのほうが損害の程度が小さくなると考えられるため、それだけ保険料が安くなります。
ただし、木造住宅であっても耐震性が高いものもあります。
構造によっては地震による損害のリスクが低いと判定されるため、保険料を抑えることが可能です。
建物の所在地
建物の構造だけでなく、所在地も地震保険料に影響を与えます。
たとえば、太平洋に面している地域はほかの地域よりも保険料が割高になっています。
その理由として、太平洋で地震が発生した場合に、
津波による損害が大きくなりやすいことが考えられます。
割引率
保険料が決まる要因は、建物の構造や所在地だけではありません。
具体的には、築年数や耐震性などが挙げられます。
築年数が古いほど、地震による損害は大きくなると考えられます。
また、建物の構造から耐震性が低いと判断されていたとしても、
耐震補強をすれば耐震性が高くなったと判断されます。
また、築年数や耐震性によっては、割引率を高め地震保険料を安くできる場合があります。
地震保険料を安くする方法
ここまでは地震保険料が決まる仕組みについて説明しました。
地震保険では、補償を充実させるのも大切ですが、家計の負担を抑えるために保険料を安く抑えることも重要です。
地震保険料を安くする方法として、次の3つが挙げられます。
以下では、地震保険料を安くする方法について詳しく説明します。
地震保険の割引制度を利用する
先ほど述べたように、地震保険は損害のリスクが少ないほど保険料が安くなります。
条件によっては高い割引率が適用されるので、保険料の負担をしっかり抑えられる場合もあるでしょう。
地震保険の割引制度は、次の表のようになっています。
割引制度 | 割引の条件 | 割引率 |
建築年割引 | 対象建物が、昭和56年6月1日以降に新築された建物である場合 | 10% |
耐震等級割引 | 耐震等級1 | 10% |
耐震等級2 | 30% | |
耐震等級3 | 50% | |
免震建築物割引 | 対象物件が、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「免震建築物」である場合 | 50% |
耐震診断割引 | 地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、建築基準法(昭和56年6月1日施行)における耐震基準を満たす場合 | 10% |
「耐震等級割引」を受けるためには、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に規定する「日本住宅性能表示基準」で定められた耐震等級 (構造躯体の倒壊等防止) か、
国土交通省が定める「耐震診断による耐震等級 (構造躯体の倒壊等防止) の評価指針」で定められた耐震等級を満たさなければなりません。
また、割引制度はほかの制度と併用して割引を受けられないので、
割引率が高い項目を選ぶことも大切です。
参考:損害保険Q&A – すまいの保険 – 問63 地震保険
新築は基本的に10%割引適用
住宅を新築するか、昭和56年6月1日以降に新築された住宅を取得した場合、
建築年割引として保険料が10%安くなります。
ただし、耐震等級2以上の物件を取得したり、
免震工法を採用した物件を建築したりする場合は、より割引率の高い項目を選べます。
ほかに高い割引率が適用されないかどうかを確認したうえで選択することが大切です。
古い中古物件は耐震改修すれば10%割引
昭和56年5月31日より前に建築された中古住宅では、
地震保険の割引制度を利用することができません。
しかし、所定の耐震診断をおこなったうえで耐震改修を実施し、
新耐震基準を満たせば「耐震診断割引」が適用されます。
この割引を利用すれば通常の地震保険料より10%安くなるので、
中古物件を購入する際は意識しておきましょう。
認定長期優良住宅は30%割引
長期優良住宅を取得する場合、耐震等級2の基準を満たさなければなりません。
耐震等級2の建物であれば「耐震等級割引」が適用されるため、
地震保険料を30%安くできます。
長期で契約する
地震保険を長期で契約すると、毎年保険料を支払うよりも1年あたりの保険料を安く抑えられます。
たとえば3年や5年のように、まとめて支払う期間が長くなるほど割安になるので、
長期で地震保険に加入する予定で支払い能力に余裕があれば、一括払いを選ぶのがおすすめです。
構造区分を選ぶ
先ほど述べたように、建物の構造区分によっても地震保険料は変わります。
木造住宅よりも鉄筋コンクリートづくりの住宅のほうが保険料が安くなるので、
住宅を購入する際は構造区分も意識しておきましょう。
また、購入する住宅の場所によっても地震保険料は変わりますが、
保険料を安くするために土地を変えるという選択は好ましくありません。
居住場所よりも建物の構造を意識するほうが現実的でしょう。
地震保険の選び方
地震保険を扱っている保険会社はたくさんありますが、補償内容や保険料に違いはありません。
しかし、地震に対して適切な備えをするためには、地震保険の選び方を知っておくことも大切です。
地震保険の選び方には、次の3つがあります。
これらを意識して地震保険を選べば、納得できる備えを用意しやすくなるでしょう。
以下では、地震保険の選び方について詳しく説明します。
火災保険の補償内容で選ぶ
火災保険は、保険会社によってプランや保険料が違ってきます。
しかし、地震保険は国と保険会社が共同で運営しているため、
どの保険会社で加入しても保険料は変わりません。
そのため、地震保険に加入する際はセットで加入する火災保険との補償バランスを考えて備えるのがポイントです。
たとえば、「補償限度額を必要以上に高くしない」といった方法が考えられます。
保険料を抑えるために補償を限定するのは好ましくありませんが、無駄のない火災保険を選べば支出を抑えられます。
住宅のタイプで選ぶ
購入する住宅が一戸建・持ち家・マンション・賃貸など、
どのタイプに該当するかによって、適切な補償対象を選択することが大切です。
住宅のタイプによってそれぞれ専有部分や共用部分などが変わることを考えると、
場合によっては備えが過剰になっているかもしれません。
地震保険は、補償対象を「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財両方」のどれに設定するかによって保険料が変わります。
そのため、住宅のタイプによって適切な補償対象を選べば、保険料を安く抑えられます。
割引制度で選ぶ
最近は、インターネットやスマートフォンが普及しているため、
自宅にいながら火災保険を比較して申し込めるようになっています。
インターネットで火災保険を探せば「ネット割引」などにより割安な保険料で加入できるところもあるので、
一度探してみるとよいでしょう。
また、上述した割引制度を利用したり、長期契約による割引を適用させたりするなど、
割引率を高める工夫をすれば、それだけ安い保険料で地震保険に加入できます。
どのような割引制度を設けているかを確認しておきましょう。
まとめ
ここでは地震保険の概要や保険料が決まる仕組み、
保険料を安く抑える方法や保険の選び方について説明しました。
地震保険単体で比較すると保険会社で保険料の違いはありませんが、
火災保険と一緒に考えることで、補償内容と保険料を最適化させやすくなります。
ここで説明した内容も参考にして、
保険料と補償のバランスを考えて地震保険に加入できるようにしておきましょう。
保険コンパスなら、何度でも相談無料です。
監修者プロフィール
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宮里 恵
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保育士、営業事務の仕事を経てファイナンシャルプランナーへ転身。 個別相談を主に、マネーセミナーも定期的に行っている他、お金の専門家としてテレビ取材なども受けています。 |