「独身だけど生命保険って加入する必要はあるの?」そう考えている人も多いのではないでしょうか。 独身の方でも家族がいる方と同様に病気にかかるリスクがあり、また両親を養っている方は、残された家族への貯蓄をしておく必要があります。

本記事では、統計をもとに独身の方が備えておくべきリスクと、独身の方が生命保険を選ぶ際のポイントについて解説いたします。

独身者の生命保険の加入率は?

加入率

そもそも、独身者の中でどれほどの割合が生命保険に加入しているのでしょうか。生命保険ニッセイ基礎研究所の統計調査を元に、独身者の性別ごとの生命保険加入率を見ていきます。まずは独身女性の加入率からご説明します。

独身女性の生命保険加入率は、20代が46.1%、30代が71.6%、40代が84.6%であり、年代とともに上昇している。

続いて、独身男性の生命保険の加入率についてです。

独身男性の生命保険加入率は、20代が47.7%、30代が72.1%、40代が81.5%であり年代とともに上昇し、全ての年代において既婚者より低い値を示す

加入している保険の種類

それでは、独身者の方はどのような保険に加入しているのでしょうか。編集部で行った、独身の方で生命保険に加入されている方を対象に行った独自調査では、医療保険の加入率が50.0%、死亡保険が18.4%、がん保険が14.0%と、独身の方は、主に病気への備えをしている方が多いことが分かりました。

独身と既婚で保険料はどのくらい変わる?

公益財団法人の生命保険文化センターの調査によれば、独身の方の保険料の年間支払額平均は17.4万円、既婚で子供なしの場合で22.8万円、既婚で子供ありだと19.8万円となっています。

種別年間支払額平均
独身17.4万円
既婚(子供なし)22.8万円
既婚(子供あり)19.8万円

まず、独身の方の場合、一般的に子供のための保険(医療保険や学資保険など)に加入することはほとんどないため、特に若いうちは保険料も少ない傾向にあります。30代・40代になると、自身の老後資金のために養老保険、個人年金保険などに加入するケースが多いです。

既婚(子供あり)の方は、子供のために学資保険に加入したり、死亡保障を増やしたりなど、独身の方と比較すると保険料が高くなります。また、一番下の子供が大学生(短大・大学院含む)の場合は年間の保険料の平均が23.1万円となり、既婚(子供なし)の世帯と比べても高くなることが分かります。

この他、加入している保険が「掛け捨て型」なのか「積み立て型」なのかによっても、保険料の傾向は変わってきます。

独身の人が備えておくべきリスク

独身の方は、既婚の方に比べると、比較的柔軟に生活設計ができますが、 それでも病気やケガ、事故などのリスクは避けられません。

ケガ・病気のリスク

ケガや病気をすると、治療費または入院費用がかかりますが、健康保険などの公的医療保険に加入している場合、3割の自己負担ですみます公益財団法人の生命保険文化センターの調査によれば、独身の方の入院時の1日あたりの自己負担費用の平均額はおよそ21,124円となっております。

また、がん治療、難病の手術といった事情で保険適用外の先進医療技術を受けることもあるでしょう。たとえ、高額な医療費が発生しても高額療養費制度を利用すれば医療費の負担を大きく抑えることが可能です。 自己負担限度額は年齢や収入に応じてそれぞれ定められています。

以下で、69歳以下の方が高額療養費制度を利用した場合の自己負担限度額についてまとめています。

例えば、先進医療でも高額な陽子線治療(約277万円)を例にすると、 標準報酬月額28万円以下の場合だと、実質負担する医療費は大きくても57,600円となります。

働けなくなるリスク

ケガ・病気または精神的な疾患により、働けなくなるリスクも存在します。公益財団法人の生命保険文化センターの調査によれば、独身の方の平均入院日数は18.9日、入院時の1日あたりの自己負担費用と逸失収入の総額平均は31,818円となっています。公的医療保険に加入している場合、疾病または負傷により4日以上就業不能かつ給与の支払いがない場合「傷病手当金」を受給できます。ただし、最長支給期間は1年半で、給料のおよそ2/3程度のため、貯蓄や保険への加入で備えておく必要があるでしょう。

死亡・高度障害のリスク

高齢の両親を扶養または元妻と実子に養育費を支払っている場合には、死亡・高度障害のリスクも考える必要があります。

人が亡くなった場合、葬儀費用、お墓の費用、香典代、遺族の生活資金なども合わせて、約5,941万円と多額の費用が必要になるといわれています。

独身の方の場合でも、自分が死亡した後にお金が必要になる可能性があるかどうか、今一度考えておく必要があります。

三大疾病のリスク

厚生労働省の調査によれば、入院患者のおよそ5人に1人が三大疾病とされており、そのうち、脳梗塞と脳内出血は入院が長期化する傾向にあり、脳内出血で107.3日、脳梗塞で78.3日といわれています

また、国立がん研究センターの調査では、がんの罹患率・死亡率ともに、男女とも50?80歳で増加傾向にあります。男性では、40歳以上で消化器系のがんの罹患率が増えますが、70歳以上では前立腺がんと肺がんの割合が増加します。

女性の場合は、40歳以上で乳がん、子宮がん、卵巣がんの罹患率が増えますが、高齢になるにつれて、消化器系がん、肺がんの割合が増加します。

独身の方はこれらの三大疾病にも備えを検討しておくとよいでしょう。

独身者の生命保険の選び方のポイント

最後に、独身者の方が生命保険を選ぶ際のポイントについて解説いたします。「病気・ケガ」「就労不能」「死亡」の3つのケースでそれぞれ解説いたします。

病気やケガに備える

独身・既婚に関わらず、病気やケガのリスクは誰にでもあります。公的医療保険に加入していれば、自己負担3割制度と高額療養費制度で、大半の医療費負担を軽減できますが、女性などは、特に将来の出産に備えて、医療保険に入っておくのも選択肢の一つです。

医療保険

医療保険は、入院時に「入院給付金」が、手術時に「手術給付金」が受け取れる保険のこと。また、医療保険によっては、日帰り入院から保障されるものもあれば、通院まで保障されるもの、また「定期型」それとも「終身型」かなど、保険期間も選択できます。

冒頭のアンケートでもご紹介したように、独身の方の多くが医療保険に加入しているようです。

がん保険

がん保険は医療保険に似ていますが、「がん通院給付金」「がん先進医療特約」など、ガンに特化したさまざまな保障を受けられます。幅広い病気やケガに備えたい場合は医療保険にがん特約を付け、がん家系などでガンになるリスクの高い方は、がん保険でがんの保障を手厚くしましょう

働けなくなった場合に備える

骨折や精神疾患などで長期入院を余儀なくされるリスクもあります。公的医療保険に加入していれば、「傷病手当金」を受給できますが、これは最長支給期間は1年半で、給料のおよそ2/3程度です。ただし、個人事業主やフリーランス等の人は傷病手当金の支給対象外のため、所得補償保険、就業不能保険などで備えておく必要があります。

所得補償保険

所得補償保険とは、損害保険会社が販売する保険商品で、病気やケガなどを原因として収入が減少したり、ゼロになった場合にその不足分を補填してくれる保険のこと。年収の40~70%程度が補填され、所定の間、毎月一定額を受け取ることができます。

就業不能保険

所得補償保険に類似していますが、こちらは生命保険会社が販売する生命保険商品です。こちらも同じく、病気やケガで働けなくなり、所得が減少・ゼロになったものを補填してくれる内容となっています。毎月およそ5~50万円程度、補填されます。

 所得補償保険就業不能保険
条件病気/ケガで就業不能病気/ケガで就業不能
金額年収の40~70%毎月10~50万円
種別損害保険生命保険
更新時期1年更新60歳~65歳満了
給付タイミング毎月毎月
保険料高め普通

死亡した場合に備える

独身の方でも、例えば両親を養っている、元妻や実子に養育費を支払っている場合には、自分が死亡した場合の備えを検討する必要があります。また、扶養している方がいない場合でも、葬儀の費用については考えておくとよいでしょう。

死亡保険

死亡保険とは、被保険者が何らかの理由で死亡した場合、受取人である遺族に保険金が支払われる保険のことです。独身者の場合、受取人の設定に悩むかもしれません。基本的には、配偶者または二親等以内の親族と定められていますが、例えば、家族と疎遠で同居人を受取人にしたいなど、相談をすれば個別の事情を汲んで対応してくれることもあります。また、死亡保険の保険金は葬儀の費用に充てることも可能です。

収入保障保険

収入保障保険は、被保険者が亡くなった場合、遺族の生活資金を支えるための死亡保険です。遺族に対して、10?20年など長期にわたって、期間満了まで毎月一定額が支払われます。特約の内容によって変わりますが、所得補償保険や就業不能保険と比べると保険料は安いです。

老後に備える

独身の方でもっとも不安なのが老後の生活資金でしょう。老後に備えるのに比較・検討したいのが「養老保険」「個人年金保険」「iDeCo」の3つの保険商品です。

養老保険

養老保険とは、満期を迎えると満期保険金を、契約期間中に死亡をすると死亡保険金をもらえる保険です。老後資金を形成できるだけでなく、満期保険金と同額の死亡保険金が受け取れるということもあり、生死混合保険に分類されます。

両親などを扶養しており、死亡したときの補償もしたいが、健康なまま満期を迎えた場合の資産の形成もしたいという方におすすめです。

個人年金保険

公的年金や厚生年金などの不足分を補うものとして活用できる私的年金のこと。月々、一定額の保険料を払込することで、一時金または年金として保険金を受け取れます。特に、個人事業主や経営者の場合は、厚生年金に加入できないため、国民年金とは別に、老後資金のための積立てをしておく必要があります。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは生命保険ではありませんが、老後資金のための選択肢の一つとして紹介いたします。個人型確定拠出年金とも呼ばれ、加入者が自分で掛け金を積立てて運用を行います。掛け金の全額が所得控除の対象となるため、個人事業主やフリーランスにはおすすめの金融商品です。

まとめ

独身の場合だと既婚の方に比べると、出費も少なく貯金もしやすいため、ある程度、貯蓄で乗り切ることができます。しかし、大きなケガや病気にかかった場合には、働けなくなる上、予想もしない出費が発生し、貯蓄だけではどうにもならないことも考えられます。本日紹介したポイントをもとに、自分に適した保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。

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監修者プロフィール

COMPASS TIMES
編集部

保険やお金に関するコラムはもちろん、身近な病気から最先端医療まで、様々な分野で活躍する名医へのインタビュー記事を集めた「名医の羅針盤」など幅広く特集。

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